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2020年9月29日

正しいごみ管理で都市を水害から守る
熱帯アジアの都市型水害の原因と解決策

環境儀 No.78

環境儀78号はしがき画像

 気候変動の影響を受けて、日本でもゲリラ豪雨が多発していますが、熱帯アジアでもスコールと呼ばれる気候帯特有の集中豪雨現象が大型化し頻発しています。大都市では、スコールの後に必ずといっていいほど道路が冠水し住居や店舗が浸水する被害が発生していますが、最近ではその範囲が拡大し、期間も長期化しています。

 日本も含めてアジアの多くの都市は、その発展の早い段階から、いかにして都市内部の氾濫水や雨水を取り除くか、という排水機能を重視してきました。これまで、様々な治水対策を講じてきたにもかかわらず、都市型水害の問題が解消するどころか、むしろ増加しているのは、降雨気象の激甚化に加えて、都市化によって道路や土地が舗装され(人工被覆と言います)地下への水分浸透量が減ったことと、そのために建設された排水路が設計上の能力を発揮できていないことに問題があると考えられるようになってきました。

 国立環境研究所では、災害環境研究の一環として、水害発生時の浸水被害を軽減するための予防策の検討、早期復興のための迅速な水害廃棄物処理スキームの提案、レジリエントな(強靱な)廃水・廃棄物管理システムの構築に関する取り組みを国内外で実施してきました。特に、熱帯アジアの都市における浸水被害の軽減や未然防止に向けては、ダムや地下放水路等の治水設備の建設のようなハード面の対策だけではなく、排水路の維持管理やごみ収集などの日々の業務の適正化という、ソフト面の対策が必要であり、有効なことを明らかにしています。

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