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2021年3月26日

「大気中の有機粒子の各種毒性に対する
 発生源別寄与の解明」(平成29~令和元年度)
国立環境研究所研究プロジェクト報告の刊行について
(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

2021年3月26日(金)
国立研究開発法人国立環境研究所
 編集分科会委員長:江守 正多
 編集分科会事務局(環境情報部情報企画室)
       室長:阿部 裕明
       担当:白井 大智
 

   国立研究開発法人国立環境研究所では、「国立環境研究所研究プロジェクト報告」として、「大気中の有機粒子の各種毒性に対する発生源別寄与の解明 平成29~令和元年度」を刊行します。
   本報告書は、大気中の微小粒子状物質(PM2.5)の毒性に対して、寄与の大きい発生源を推定するための手法の構築を目指して行った研究の成果を取りまとめたものです。本研究によって、PM2.5中の有機物の毒性に対して寄与の大きい発生源は、PM2.5質量に対して寄与の大きい発生源とは大きく異なることが明らかになりました。

1.「大気中の有機粒子の各種毒性に対する発生源別寄与の解明 平成29~令和元年度」の概要

 大気中のPM2.5による健康リスクを減らすためには、その発生源や環境中の動態を理解することが重要です。また、PM2.5の化学組成はその発生源や採取地点によって異なるため、その健康影響や毒性も、発生源や採取地点によって異なる可能性があります。
 本研究では、PM2.5の毒性に大きく関与していると考えられる有機物に着目し、有機物を主体とする粒子(有機粒子)の主な発生源(ガス状物質が大気中で粒子化した二次有機粒子、自動車排気、野焼き排気、調理排気)を対象に、化学組成と毒性(酸化ストレスと炎症に関する応答、DNA損傷性、アリル炭化水素受容体(AhR)結合活性)を細胞や化学試薬を用いて評価しました。また、大気中のPM2.5試料も、同様の方法で化学組成と毒性を評価しました。そして、発生源と大気試料の分析結果を組み合わせた解析によって、大気PM2.5中の有機物が示す毒性に、どの発生源がどの程度寄与しているかを定量的に推定しました。
 その結果、有機物質量あたりの毒性の強さは、毒性の種類や発生源の種類、大気を採取した地点・季節によって大きく異なることが確認されました。本研究で対象とした発生源のうち、大気PM2.5中の有機物の毒性に対して寄与が大きいのは、ナフタレン起源二次有機粒子、野焼き排気粒子及び自動車排気粒子と推定された一方、調理排気粒子や植物起源二次有機粒子の寄与は小さいと推定されました。また、長時間(数日以上)の大気中でのエイジング(酸化反応)が大気有機粒子の毒性を低下させることが示唆されました。
 本研究の結果から、大気中PM2.5による健康リスクを減らすための、より効果的な発生源対策を検討するためには、従来のようにPM2.5の質量で評価することに加え、化学組成や健康影響・毒性の違いも考慮することが望ましいと考えられます。

●本報告書の研究課題代表者
 伏見 暁洋(ふしみ あきひろ)
  国立環境研究所 環境計測研究センター 反応化学計測研究室 主任研究員

2.本報告書の閲覧及び問い合わせ先