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2019年2月7日

野焼きにより発生する微小粒子状物質(PM2.5)の影響を評価
—国立環境研究所研究プロジェクト報告「未規制燃焼由来粒子状物質の動態解明と毒性評価 平成27~29年度」の刊行について(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

平成31年2月7日(木)
国立研究開発法人国立環境研究所
 編集分科会委員長:江守 正多
 編集分科会事務局
   (環境情報部情報企画室)
       室長:阿部 裕明
       担当:青池美江子
 

   国立研究開発法人国立環境研究所(以下、『国立環境研究所』という。)では、「国立環境研究所研究プロジェクト報告」として、「未規制燃焼由来粒子状物質の動態解明と毒性評価 平成27~29年度」を刊行します。
   本報告書は、野焼き由来の微小粒子状物質(PM2.5)の動態を解明し、その毒性を評価するために実施した研究について取りまとめたものです。本研究により、大気中の粒子濃度に対して野焼きの寄与が無視できないことや、麦や稲の燃焼で生成する微小粒子状物質は、その毒性が大気中の微小粒子状物質と同程度もしくはそれ以上であることが示唆されました。また、野焼き発生件数の推定やシミュレーションによる影響評価も行えるようになりました。

1 「未規制燃焼由来粒子状物質の動態解明と毒性評価 平成27~29年度」の概要

   大気中を浮遊する粒径が2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質(PM2.5)は、人の健康に影響を及ぼすおそれがある重要な大気汚染物質であり、低減が必要とされています。様々な発生源がPM2.5やその原因となる物質を排出していますが、中でも農業残渣の燃焼-いわゆる「野焼き」-については、統計がほとんど整備されておらず、実態が把握されていませんでした。
   このような背景を踏まえ、本研究では、大気中のPM2.5の濃度観測と成分分析による実態ならびに野焼きの影響の解明、大気中及び麦や稲の燃焼実験で得られたPM2.5の毒性評価、野焼きの発生件数の調査結果に基づき気象条件や刈り取り時期を考慮した「野焼き発生件数推定モデル」の構築、3次元大気質シミュレーションによるPM2.5に対する野焼きの影響評価などを進めてきました。
   その結果、野焼きの発生件数が多かった日にはPM2.5中のレボグルコサン(植物中のセルロースが燃焼するときに生じる無水糖)の濃度が高く、レボグルコサンの濃度と野焼き件数の傾向に相関が見られました。観測結果から、PM2.5に含まれる有機炭素と黒色炭素に対する植物燃焼の寄与はそれぞれ19%、16%程度と推定されました。麦や稲の燃焼で生成するPM2.5は、毒性が大気中のPM2.5と同程度もしくはそれ以上であることが示唆されました。野焼きの発生には降雨前の増加などの明確な気象条件の影響が見られ、気象条件と刈り取り時期を考慮したモデルにより、野焼き発生件数が精度よく再現されました。また、モデルで推定された野焼き発生件数とPM2.5の排出量を用いて大気質シミュレーションを実行し、PM2.5に対する野焼きの寄与について観測結果と定性的に整合する結果が得られました。
   本研究成果は、PM2.5の発生源としての野焼きの影響の大きさと対策の重要性を示すとともに、大気環境保全のための総合的施策の検討に役立てられることが期待されます。

●本報告書の研究課題代表者
  高見 昭憲(たかみ あきのり)
    国立環境研究所 地域環境研究センター センター長

2 本報告書の閲覧及び問い合わせ先

●本報告書は研究所ホームページで閲覧できます。
  http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/setsumei/sr-133-2018b.html

  既刊の「国立環境研究所研究プロジェクト報告」も閲覧できます。
  http://www.nies.go.jp/kanko/tokubetu/index.html

● 本報告書についてのお問い合わせ先:国立環境研究所 環境情報部情報企画室出版普及係
  (TEL: 029-850-2343  E-mail: pub@nies.go.jp)