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2018年12月27日

三カ国の環境研究機関の発展的協力に向けて:
「第15回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM15)」の開催報告

【行事報告】

芦名 秀一

 国立環境研究所(NIES)は、韓国の国立環境科学院(NIER)及び中国環境科学研究院(CRAES)と共に「日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)」を2004年から毎年開催しており、北東アジア地域をはじめとした様々な環境問題の解決に向けた研究協力の推進と、新たな協力の姿の議論を行っています。本年度は、10月29日(月)から11月2日(金)にかけて、韓国・釜山広域市にてNIERが主催し、NIESとCRAESが共催する形で第15回のTPM(TPM15)を開催しました。

 30日の本会議に先立ち、29日には、釜山広域市衛生環境研究所及び釜山グリーンエネルギー社を視察し、大気汚染のモニタリングや環境化学物質分析等の様々な研究活動や、釜山市における低炭素型エネルギーシステム構築の取り組みについて視察するとともに、質疑応答を含めた交流を行いました。

 翌日のTPM15本会議では、NIERのChang Yoon Seok院長の開会挨拶後、CRAESの李海生(Li Haisheng)院長及びNIESの渡辺知保理事長が開会にあたっての講演を行いました。機関長らは、環境研究分野における三機関間協力の着実な進展に言及するとともに、友好関係継続への期待を示しました。加えて、渡辺理事長からは、気候変動適応法を受けた新たな研究・業務についてや、10月29日に成功裏に打ち上げられたGOSAT-2について紹介し、今後の研究展開への期待を示しました。次に、各機関のTPM14以降の研究活動の概況が報告され、原澤理事から具体的な活動と成果について報告しました。

会場内の写真
写真1 本会議での議論の様子(NIER提供)
三機関長が握手をする様子
写真2 署名式後に握手を交わす三機関長 (左から李院長、Chang院長、渡辺理事長)(NIER提供)

 本年度の会合では、昨年度のTPM14も踏まえて、日韓中の環境研究機関の協力のためのプラットフォームであるTPMをさらに発展させていくために、三機関共同の研究の可能性のほか、TPMの運営等についての議論が行われました。三機関の共同研究については、担当研究者からの提案を踏まえて機関長間での議論を行いました。三機関の具体的な共同研究の可能性を有する分野を潜在協力研究分野(Potential Research Area)として設定することとして、具体的な提案のあった大気、水、気候変動、及び環境健康の4分野を位置づけ、機関間の議論を進めるとともに、協力しての外部資金獲得等を進めることが話し合われました。翌31日には、これらの発表や議論を踏まえた共同声明へChang院長、李院長及び渡辺理事長が署名しました。

 本会議翌日の31日には、国際ワークショップ「廃棄物管理・処理の現状及び将来」を開催しました。ワークショップでは、TPMメンバーを中心に、釜山広域市衛生環境研究所の発表者も含めながら、廃棄物関連研究の最新知見の紹介とそれに基づく活発な議論が行われました。NIESからは、資源循環・廃棄物研究センターの倉持秀敏室長、小口正弘主任研究員、及び石垣智基主任研究員が参加し、研究成果等の発表と議論を行いました。

参加者の集合写真
写真3 国際ワークショップ参加者集合写真(NIER提供)

 11月1日には、洛東江河口エコセンター等を訪問し、生物多様性等の保全に関する取組の現状を視察するとともに、質疑応答を含めた交流を行いました。

 次回のTPM16は、2019年に中国においてCRAES主催で開催される予定です。

 なお、本会合については、国立環境研究所ホームページのお知らせにも掲載しております。

(あしな しゅういち、企画部国際室)
 

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