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2013年12月28日

「第10回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM10)」の開催

【行事報告】

 国立環境研究所(NIES)は、韓国の国立環境科学院(NIER)および中国環境科学研究院(CRAES)と共に「日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)」を2004年から毎年開催しており、東アジア地域の様々な環境問題の解決に向けた研究協力を推進しています。第10回となる今回(TPM10)は、平成25年11月5~7日に中国江蘇省南京市および無錫市において、CRAESの主催、NIESとNIERの共催として開催されました。

 初日のTPM10本会議では、CRAESの孟伟(MENG Wei)院長の開会挨拶後、住理事長とNIERの金三權(KIMSam Cwan)院長が基調講演を行いました。機関長らはこれまでの研究協力を高く評価すると共に、今後より密接な交流・協力の推進が重要であると述べました。また、住理事長は東日本大震災後のNIESの研究展開や福島支部(仮称)設立を含めた今後の災害環境研究の推進についても紹介しました。次に、各機関のTPM9以降の研究活動の概況が報告され、原澤理事はNIESの各センターや各研究プログラムを紹介しました。その後、災害環境研究に関するトピックを3機関が発表しました。NIERは化学物質の漏洩事故を例に安全管理と対処、CRAESは洪水や砂塵嵐の災害と生態系の役割、NIESからは大原地域環境研究センター長が東日本大震災と続く福島の原子力発電所事故後のNIESの様々な災害環境研究の活動について紹介しました。

 午後からは、CRAESの周云(ZHOU Yun)国際協力センター長がワーキンググループを代表して、8つの重点研究分野(PRA)と研究のキーワードを紹介し、その後、各PRAをリードする主担当機関がTPM9以降の研究活動を報告しました。具体的には、CRAESが淡水汚染、化学物質リスク管理、生物多様性保全について、NIERが砂塵嵐(黄砂)と固形廃棄物管理について、NIESからは佐藤広域大気環境研究室主任研究員がアジア大気汚染、藤田社会環境システム研究センター長が都市環境・エコシティ、増井統合評価モデリング研究室長が気候変動について、3機関が参加した共同ワークショップや研究協力について発表しました。その後、各分野の協力活動や今後の共同研究について議論し、次の1年間の各PRAの主担当機関を決めました。討議の過程で、住理事長が「災害環境」を第9番目のPRAにしたいと提案し、了承されました。この結果、NIESは生物多様性保全、気候変動に加え、災害環境の主担当機関となりました。翌6日に、TPMの枠組みによる3機関の協力推進を謳った共同コミュニケが纏められ、住理事長と金院長、孟院長が署名しました。

 2日目には、淡水汚染問題に関する国際ワークショップ「International Environmental Protection Symposium on Clean Water Action」が、TPMと江蘇省環境科学研究院との共催で開催されました。これにはTPMのメンバーの他、オーストラリア、オランダ、地元江蘇省の研究者等が多数参加しました。NIESからは、今井地域環境研究センター副センター長が霞ケ浦長期モニタリングを含む研究、同センターの水落主任研究員が中国農村での分散型排水施設の共同研究の成果を発表し、参加者との間で活発な討議がなされました。3日目は無錫市に移動して近隣湖沼(蠡湖、贡湖)を視察し、水質浄化と生態系保全に関する長期的な修復活動について説明を受けました。また、現地研究者と質疑応答を含めた交流を行いました。

 東アジアで政治的緊張が続く中、TPMでは終始友好的な雰囲気のもとで真摯な議論と将来の協力が話し合われました。次回のTPM11は、2014年秋に日本においてNIES主催で開催される予定です。

 なお、本会合の詳細については後日、国立環境研究所ホームページに掲載します。

(企画部 清水英幸、近藤美則)

三国の環境研究機関長
TPM10参加者(2日目のJoint Communique署名後)

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