ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方
2017年12月28日

三カ国の環境研究機関の発展的協力に向けて:
「第14回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM14)」の開催報告

【行事報告】

芦名秀一

 国立環境研究所(NIES)は、韓国の国立環境科学院(NIER)及び中国環境科学研究院(CRAES)と共に「日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)」を2004年から毎年開催しており、北東アジア地域をはじめとした様々な環境問題の解決に向けた研究協力の推進と、新たな協力の姿の議論を行っています。本年度は、平成29年10月24日(火)から28日(土)にかけて、つくば市にてNIESが主催し、NIERとCRAESが共催する形で第14回のTPM(TPM14)を開催しました。

写真1 国際ワークショップ参加者集合写真(撮影・成田正司高度技能専門員)

 26日の本会議に先立ち、25日(水)に国際ワークショップ「環境評価と管理による水環境問題の解決」を開催しました。ワークショップは、まず茨城県霞ケ浦環境科学センターの福島武彦センター長から基調講演を頂き、以降TPMメンバーを中心に、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターや滋賀県立大学からの発表者も含めながら、水環境問題に関する研究の最新知見の紹介とそれに基づく活発な議論が行われました。NIESからは、高津文人室長(地域環境研究センター)から湖沼環境保全の指標である底層DO濃度に関する研究、松崎慎一郎主任研究員(生物・生態系環境研究センター)から霞ヶ浦での生態系サービスと生物多様性の関係に関する研究、小野寺崇主任研究員(地域環境研究センター)から適正下水処理システムの開発についての研究をそれぞれ発表しました。

 翌日のTPM14本会議では、NIESの渡辺知保理事長の開会挨拶後、NIERの朴辰遠(Park Jinwon)院長及びCRAES院長の李海生(Li Haisheng)院長が開会にあたっての講演を行いました。機関長らは、環境研究分野における三機関間協力の着実な進展に言及するとともに、友好関係継続への期待を示しました。加えて、渡辺理事長は、TPM初参加の出席者が多いことをふまえ、NIESの概要、特に福島支部及び琵琶湖分室の設置という東日本大震災以降の動き及び第4期中長期計画における研究体系を中心に紹介しました。次に、各機関のTPM13以降の研究活動の概況が報告され、田中企画部長から渡辺理事長の紹介を踏まえて、具体的な活動と成果について報告しました。その後、廃棄物管理に関するトピックを三機関から発表しました。NIESからは、河井紘輔主任研究員(資源循環・廃棄物研究センター)から、食品廃棄物の分類とコンポスト化を通じたリサイクル率向上についての研究成果を報告しました。

 午後からは、三機関が共同で設定した9つの重点研究分野(PRA)それぞれに、各PRAをリードする主担当機関(LCI)からTPM13以降の進捗について報告されました。具体的には、CRAESが淡水汚染、都市環境・エコシティ、化学物質リスク管理について、NIERがアジア大気汚染、砂塵嵐(黄砂)と固形廃棄物管理について、NIES からは松崎慎一郎主任研究員(生物・生態系環境研究センター)が生物多様性、増井利彦室長(社会環境システム研究センター)が気候変動、中山祥嗣室長(環境リスク・健康研究センター)が災害環境について、三機関が参加した共同ワークショップや研究協力等について発表しました。

 その後、TPM14がNIES及びCRAESの機関長交代後初めて開催されるTPMであり、NIER院長も就任後間もないことから、機関長らは、『友情、コミュニケーション、協力、win-win』というTPMの原則を念頭に、新たな視点からTPMの将来について議論しました。機関長らは、今日の環境問題は科学的にも物理的にもその多様性及び広がりが増大しており、その解決のためには様々な分野や国内外の研究機関の協力がますます求められているとして、日韓中各国の中核的環境研究機関の機関長の集まりであるTPMはそのような協力の推進に貢献できる立場にあり、これまでの協力活動に加えて、国内外の研究機関間の環境研究協力の推進役というTPMの新たな可能性の追求を含むTPMの新たな方向性を追求することで原則合意しました。具体的には、三機関による共同研究プロジェクトを展開するための柔軟な仕組みの検討や定期的な研究会合の実施、及び若手研究者がTPMの諸活動に参加することなどが挙げられています。また、三機関の新たな研究協力の可能性として子どもの環境保健が提案され、各機関でその可能性について議論を行うことが合意されました。これらについては、次回会合(TPM15)で詳細な議論ができるように、各機関の作業グループで準備作業を進めることになります。

 これらの発表や議論を踏まえて、翌27日に渡辺理事長、朴院長及び李院長が署名しました。

 四日目は、NIESつくば本部及び水環境保全再生研究ステーションを訪問し、水環境研究をはじめとした様々な研究活動について視察するとともに、質疑応答を含めた交流を行いました。

 次回のTPM15は、2018年に韓国においてNIER主催で開催される予定です。

 なお、本会合については、国立環境研究所ホームページにも掲載しております。

写真2 署名式後に握手を交わす三機関長(左から朴院長、渡辺理事長、李院長)
(撮影・成田正司高度技能専門員)

(あしな しゅういち、企画部国際室)
 

関連新着情報