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2014年12月31日

第11回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM11)の開催

【行事報告】

清水英幸・近藤美則・白井大智・藤井実・山野博哉

 第11回日韓中三カ国環境研究機関長会合(The 11th Tripartite Presidents Meeting among NIES, NIER and CRAES: TPM11)が、平成26年11月11~14日に、神奈川県川崎市および山梨県富士吉田市において開催されました。今回の会合は日本で開催される4回目のTPMで、国立環境研究所(NIES)の主催、国立環境科学院(NIER-韓国)と中国環境科学研究院(CRAES-中国)の共催であり、また川崎市と環境省生物多様性センターの後援を得ました。TPM11では、2日目に本会議が、3日目に国際ワークショップが、そして1日目と4日目に環境関連施設のスタディツアーが企画されました。

 本会議は、3機関に加えて、川崎市環境総合研究所から横田所長らの参加を得て開催されました。住明正理事長の開会挨拶および基調講演で始まり、NIERの金三權(KIM Sam Cwan)院長およびCRAESの孟伟(MENG Wei)院長による基調講演が続きました。住理事長は、研究機関にも環境問題解決への貢献が求められていることを指摘しました。そして、北東アジアの環境問題への対処にはTPMの枠組みによる実用的実際的な協力が重要であることを、3機関長は確認しました。次に、TPM10以降の各機関の活動概況が紹介されました。原澤研究担当理事はNIESの研究概要と環境政策への貢献などについて概括しました(写真1)。その後、本会合の統一トピックである「PM2.5と短寿命気候汚染物質」について、3機関の研究成果が発表されました。地域環境研究センターの高見副センター長はNIESの大気汚染研究の概要を、菅田主任研究員は予測システム「VENUS」について紹介しました。この種の大気汚染の問題は日韓中の緊急かつ優先課題であり、今後も継続的に情報交換と協働を推進することに各機関長は合意しました。

写真1 本会議(原澤理事説明)

 午後からはTPMの枠組みでの活動がレビューされました。最初に清水主席研究企画主幹が日韓中のワーキンググループを代表して、TPMのこれまでの歴史、枠組み、活動内容および6月に開催した3機関ワーキンググループ会合の概要について、続いて近藤研究推進室長が9つの重点研究分野の活動概要を研究のキーワードや協力提案を含めて発表しました。その後、各分野の主担当機関の担当研究者がTPM10以降の研究活動および今後の協働計画について報告しました。具体的には、CRAESが「淡水汚染」、「都市環境とエコシティ」、「化学物質リスク管理」について、NIERが「アジア大気汚染」、「砂塵嵐(黄砂)」、「固形廃棄物管理」について発表しました。NIESからは、生物・生態系環境研究センターの山野室長が3機関の「生物多様性保全」に係る研究活動を概括し、ネットワークの重要性を指摘しました。社会環境システム研究センターの増井室長は「気候変動」に関する各研究機関の活動概要、3機関の研究協力、今後の低炭素社会に向けたステップについて発表しました。また、資源循環・廃棄物研究センターの平山主任研究員が、「災害環境」の概念を分かり易く説明し、情報交換とミニワークショップの開催を提案しました。

 全体討議で3機関長は、TPMの下での協働を一層推進するために、重点研究分野の重要性を指摘し、各分野の、特に主担当機関の研究者の積極的主導とワーキンググループメンバーの協働に期待を表明しました。また、各分野の主担当機関をもう1年間継続することで合意しました。その後、NIESの客員研究員制度などが紹介され、TPMの活動を拡大するために、各国の他の研究機関に所属する研究者の参加可能性を探ることで合意しました。また、住理事長は国際応用システム分析研究所(IIASA)のアジア大気汚染に関する共同研究の提案を紹介し、今後もTPMで協議することになりました。翌13日には、本会議における合意事項を内容とした共同声明(Joint Communiqué)が作成され、3機関長が確認し署名しました(写真2、3)。

写真2 3機関長(左から、金院長、住理事長、孟院長)
写真3 TPM11参加者集合写真

 3日目に、「エコシティと生物多様性に関する国際ワークショップ(International Workshop on Eco-city and Biodiversity)」が、一般にも公開されて開催されました。住理事長の開会挨拶に続いて、福田川崎市長から歓迎の挨拶があり、川崎市の環境への取組が紹介されました(写真4左)。NIESからは、エコシティに関して社会環境システム研究センターの藤田センター長と藤井主任研究員が、生物多様性に関して生物・生態系環境研究センターの山野室長と五箇主席研究員が研究成果を発表しました。このワークショップでは、NIES、NIER、CRAESの研究者に加え、環境省の地球環境局と自然環境局および川崎市環境局の担当者からも発表があり、多様な角度から討議が行われました(写真4右)。

写真4 国際ワークショップ(左:福田川崎市長、右:会議概観)

 初日午後のスタディツアーでは、川崎市の環境関連施設(かわさきエコ暮らし未来館、資源化処理施設、川崎ゼロ・エミッション工業団地(三栄レギュレータ東京工場)、川崎市環境総合研究所)を視察し、公害から環境都市へと再生した川崎市の取組説明と質疑応答がなされました(写真5)。また4日目には、NIESの富士北麓フラックス観測サイト、環境省生物多様性センター、山梨県富士山科学研究所などを訪れました。韓国・中国の参加者は、温暖化や生物多様性などに関する様々な活動の説明を聴き、またフラックスタワーに登って設備を確認し、地球環境研究センターの担当者などと真摯な研究交流を行いました(写真6)。

写真5 かわさきエコ暮らし未来館視察
写真6 NIESの富士北麓フラックス観測サイト視察

 TPMは2004年からほぼ毎年開催されています。今回のTPM11では、PM2.5と短寿命気候汚染物質のような喫緊の環境問題の解決に資するため、3機関の実際的研究協力の必要性が強調され、またTPM活動の拡大方針などが合意されました。今後、北東アジア地域の環境保全に向けた協働の推進が期待される内容でした。なお、次回の会合(TPM12)は2015年11月に韓国の麗水においてNIERが主催する予定です。

 今回、著者らはNIES内にワーキンググループを結成してTPM11の準備を進め、責任を分担して本会議やワークショップに臨みました。多々反省もありますが、今後のTPM開催・国際交流の貴重な経験になりました。最後に、NIERとCRAESのワーキンググループメンバーおよび川崎市環境総合研究所や環境省の関係者には、資料作成や連絡調整などに多大なるご協力を頂きました。ここに改めて感謝いたします。

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