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2012年12月28日

「第9回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM9)」の開催

【行事報告】

企画部国際室 清水英幸、近藤美則

 第9回日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM9)が、平成24年11月12~15日に、韓国平昌(Pyeongchang)で開催されました。TPMは、国立環境研究所(NIES、日本)、国立環境科学院(NIER、韓国)、中国環境科学研究院(CRAES、中国)が、東アジアの環境問題を中心に研究協力するための枠組みです。今回はNIERが主催、CRAESとNIESが共催という形で開催されました。

 12日のTPM9本会議では、NIERの朴錫淳(PARK Seok Soon)院長が開催挨拶を、CRAESの(MENG Wei)院長および大垣理事長がキーノートスピーチを行いました。何方も、今後TPMの枠組みによる3研究機関の協力はさらに重要となることを強調しました。大垣理事長は東日本大震災から学んだ研究の不連続な変化への対応と継続性の両者の重要性についても言及しました。各研究機関のTPM8以降の活動概況に関しては、NIESから徳田企画部長が各センターの研究活動状況などを紹介しました。また、各機関のトピックでは、NIESから原澤社会環境システム研究センター長がアジア太平洋統合モデル(AIM)を用いた研究活動を紹介しました。

 午後から、TPMに関連する研究活動のレビューと今後の研究協力に関し、8つの重点研究分野について各機関が報告しました。NIESは、本セッションの冒頭に討議のポイントを示すとともに、各分野の成果と今後の要望について発表しました。討議の結果、分野毎に研究協力を一層推進するための主担当機関を決めました。NIESは「アジアの大気汚染」、「都市環境とエコシティ」および「気候変動」分野の主担当となりました。翌13日には共同コミュニケが纏められ、大垣理事長と朴院長、孟院長が署名しました。

 TPMの一環として開催された国際ワークショップの今回のテーマは「都市環境とエコシティ」および「気候変動の影響と適応」で、13日の午前と午後に、一般にも公開して開催されました。これらの分野ではNIESの研究は進んでおり、前者では珠坪室長と藤田室長が、後者では藤野主任研究員と高橋主任研究員が研究成果を発表しました。会場には韓国江陵市の環境関係者らも参加し、様々な角度から熱心な討論が行われました。

 14日と15日には、江陵市のエコシティプロジェクトである慶浦湖の再生や、ソウル市に飲料用水を供給する八堂湖を管理するNIERの漢江環境研究センター、NIERのカーボンゼロ棟や自動車試験棟、さらにはソウルの首都圏埋立地管理会社(廃棄物処理施設)などを訪問しました。韓国の環境研究など最先端の活動が担当研究者らによって説明され、参加者との間で具体的な内容についてディスカッションがなされました。

 東アジアは21世紀の複雑な環境問題・環境研究のフロンティアであり、TPMは他のアジア諸国も含めたより広い国際的活動にも目を向ける時期かもしれないと、議論に参加しながら考えました(本会合の詳細は後日国立環境研究所ホームページに掲載されます)。なお、次回の会合(TPM10)は、2013年秋に中国・南京においてCRAESの主催で開催される予定です。

共同コミュニケ署名式
国際ワークショップ参加者一同

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