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Global, International, National そして Local

巻頭言

副所長 鈴木 継美

すずき  つぐよし の写真

 単に環境問題に限らず、現代社会に存在する各種の問題はグローバルな広がりを持ち、相互に関連しあい、個々の国の対応だけではどうにもならない状況にある。一つの国が個別の問題に対して何らかの政策を選択しようとするとき、国内の諸条件に配慮するだけでなく、他の国々との調整も同時に必要となる。国家間の相互依存の増加、ECにみられるような経済共同体の成立、また国際的調整の拡大によって現代における「国家」はその枠組みを揺さぶられている。最近(1991年)のローマクラブ・リポート「第一次地球革命」は主権国家の存在意義が薄れていくと予想しているが、これまでに人為的に作られた多民族国家が民族自立の動きの中で解体しつつあることも、これまで人類が依存してきた「国家」なるものについて深刻な論議があることを示している。

 地球規模の環境問題に対応するために国際的な協力が必要であることは自明であるが、その際、国を単位として意見の調整を進めようとすれば国ごとの利害の対立によって身動きがとれなくなることも多い。国際的な活動のための組織が持つべき機能と権限についての模索が今各分野で進められているようにみえる。その中で既存の「主権国家」とこれからの国際協力の進め方についての議論も深まるに違いない。

 “Think globally, act locally”というのはなかなか上手な標語であるが、グローバルな問題に対して、インターナショナルさらにナショナルな水準で何ができるかが問題であり、それがローカルな場に生きている人々自身による生き方の決定にまでつながらなければならない。以上、UNCEDのニュースを聞きながら感じたことである。

(すずき つぐよし)