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2021年9月30日

土地の履歴効果

コラム3

 過去の人為的攪乱の効果が、長期間にわたってその後の生態系の変化に与える影響を「履歴効果」と呼びます。履歴効果が生じるメカニズムにはさまざまなものがあり、森林伐採など長期間にわたって回復困難な環境改変によるもの、地域個体群が絶滅した後に他の場所からその種が再侵入するまでのタイムラグによるもの、生態系が大きなストレスを受けて当初とは異なる安定状態に至ること(レジームシフト)によるものなどが知られています。

 その効果が顕著に現れるのは、特定の文明が衰退した後に続く自然環境の劣化であり、例えばマヤ文明が衰退した後も1000年程度の森林の劣化と土壌流出が生じたことが、湖底堆積物の研究から明らかになっています。履歴効果は多くの種に対してマイナスの効果を持ちますが、人為的攪乱が種にとっての生息地を創出する効果をもつ場合にはプラスの効果があるなど、正負両面の効果があります。

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