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2023年1月30日

受賞のお知らせ~
岡村 和幸 主任研究員が第27回ヒ素シンポジウムより奨励賞を受賞

概要

受賞者氏名: 岡村 和幸(環境リスク・健康領域)
賞の名称:  奨励賞
授賞機関:  第27回ヒ素シンポジウム
受賞年月日: 2022年12月4日
受賞対象:  無機ヒ素曝露による肝星細胞の細胞老化誘導とSASP因子の増加に伴う肝癌細胞の遊走促進作用, 第27回ヒ素シンポジウム, 同講演要旨集, 40-41, 2022

受賞者の写真

ひとこと

この度日本ヒ素研究会が行う第27回ヒ素シンポジウムにおいて奨励賞を頂きました。無機ヒ素(以下ヒ素)は地質から井戸水等への混入を介してアジアを含む世界中で慢性ヒ素中毒による健康被害をもたらしています。慢性ヒ素中毒による症状の中には皮膚、肺、膀胱、肝臓など各臓器における発癌が知られており、ヒ素曝露による発癌の特徴として、長い潜伏期間を持つこと、曝露を中止した後にも発症することが報告されています。しかし、その発症メカニズムは未だ不明な点が多く残されています。本発表では、肝臓の線維芽細胞である肝星細胞において、ヒ素曝露によって細胞老化が誘導されること、その際炎症性サイトカインやケモカイン、マトリックスメタロプロテアーゼの発現増加がおきることを見出しました。さらに、曝露を中止してもその影響は残ること、肝星細胞に細胞老化が誘導されることによって、肝癌細胞の遊走能が増加することを明らかにしました。これらの研究からヒ素による肝発癌メカニズムに肝星細胞の細胞老化が関与する可能性を示しました。この受賞を励みに、ヒ素による毒性メカニズムの研究をさらに行い、ヒトの健康を守ることに少しでも貢献して行きたいです。