ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方
2014年12月15日

生物応答を用いた事業場排水実態調査における実施事業場の募集について

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配布)

平成26年12月15日 (月)
独立行政法人 国立環境研究所
環境リスク研究センター
センター長 :青木 康展
環境リスク研究推進室長:
                     鑪迫 典久
 

   国立環境研究所では、「平成26年度生物応答を利用した水環境管理手法検討調査業務」(環境省請負業務)を実施しており、制度・運用の検討や生物応答を用いた排水試験法案の作成を進めています。
今年度は、生物応答を用いた排水管理手法制度運用の検討や排水管理ガイドライン(案)の作成に資するため、事業場排水を対象とした実態調査を実施します。
つきましては、生物応答手法を実際に適用するために、排水を提供していただける事業場を募集いたします。

1.背景と目的

 事業場等からの排水には、多様な化学物質が含まれている場合がありますが、このうち、各種法令によって規制・監視されている物質は限られています。新規の化学物質や複数の物質による複合的な影響については依然として未知な部分が多く、従来の個別の物質・項目を対象とした水環境管理手法のみでは、水生生物等への悪影響といった新たな水質問題に確実かつ迅速に対応することが難しいと考えられます。

 これまでの個別物質管理手法を補完するため、諸外国では魚類、ミジンコ、藻類などの水生生物を排水等に直接ばく露し、生死や繁殖、生長といった生物応答によって、環境中および事業場排水中の化学物質による影響を総体的に把握する手法(以下、「生物応答手法」という。)が既に1990年代から導入されています。国内でも新たな水環境管理手法として生物応答手法の導入が検討され、事業場排水の水生生物への総体的な影響の程度を魚類、甲殻類、藻類の3種の生物を用いて把握する「生物応答を用いた排水試験法(検討案)」(以下、「試験法検討案」という。)をとりまとめています。

 生物応答手法を用いた排水管理を運用するためにはさまざまな課題について整理、検討する必要があります。また、生物応答手法の制度・運用や排水改善のための対応策を含めた「生物応答による排水管理ガイドライン(案)」を作成するためには、より幅広い業種の事業場排水を対象に、試験法検討案を適用した事例の収集が必要とされています。

 そこで昨年度は、公募した15の事業場排水を対象に、試験法検討案に基づいた調査が実施されました。今年度も引き続き、事業場排水を提供していただける事業場を募集いたします。本実態調査は、「平成26年度生物応答を利用した水環境管理手法検討調査業務」(環境省請負業務)の一環として、試験法検討案の改訂や生物応答を用いた排水管理ガイドライン(案)の作成に資するものであり、その結果について何らかの評価・措置をとるものではないという趣旨をご理解いただき、是非ご協力いただければと考えております。

2.実態調査の概要

 本調査は、事業場の排水を試験水として、魚類、甲殻類、藻類の3種類を用いて生物応答を用いた排水試験と排水基準項目の化学分析を実施いたします。試験の実施は、国立環境研究所(以下、「国環研」という。)又は国環研が別途募集する試験機関(以下、「民間の試験機関」という。)が担当します。事業場には、担当試験機関が作成する試験計画書(排水採取計画書を含む)の立案に必要な情報(排水処理方法、最終排水口の場所等)と試験に用いる排水のご提供をお願いします。試験結果は、事業場名を非公表としたうえで国環研において取りまとめ、検討委員会における資料及び環境省請負業務報告書に活用させていただきます。

 調査に当たってご提供いただいた排水情報や試験結果等の取扱いは、担当試験機関と事業場との間で予め守秘義務契約を締結するとともに、国環研においては「独立行政法人 国立環境研究所 情報セキュリティーポリシー」に基づき、事業場の機密を保持するものとします。

3.実態調査の内容

3.1 試験計画書の作成

 排水の採水方法や採水日程を含めた試験計画を決定するため、1月中旬までに、国環研および担当生物応答試験を実施する試験機関の担当者と事業場担当者との打ち合わせをさせていただきます(打ち合わせの方法は原則としてメールまたは電話でのやり取りとさせていただきます)。その結果を踏まえて、担当試験機関で作成した試験計画書を送付いたします。

3.2 事業場での排水の採取と輸送

 試験計画書に基づき、事業場において、国環研が予め提供する採水容器に排水を採水していただきます。採取した排水は、原則、36時間以内に試験が実施できるように、国環研又は民間の試験機関へ冷蔵指定で輸送をお願いいたします。なお、輸送費は国環研が負担いたします。

3.3 試験の実施

 生物応答を用いた排水試験は、国環研又は民間の試験機関により実施いたします。試験は「生物応答を用いた排水試験法(検討案)」に基づき、「胚・仔魚期の魚類を用いる短期毒性試験法」、「ニセネコゼミジンコを用いたミジンコ繁殖試験法」、「淡水藻類を用いる生長阻害試験法」の3試験を行います。また、必要に応じて排水基準項目の化学分析を実施いたします。

3.4 試験結果の報告

 担当試験機関より試験結果報告書を4月に提出いたします。

3.5 調査におけるご協力依頼事項

 前述のとおり、排水のご提供に関し以下のご協力をお願いいたします。
  ・試験計画作成に関するご協力
  ・排水の採取及び輸送に関するご協力

4.実態調査のスケジュール

12月15日~1月5日 :事業場の募集
12月下旬~1月上旬 :試験機関の決定
1月9日 :調査事業場の決定
1月中旬~下旬 :採水計画を含む試験計画書の作成
1月~3月上旬 :事業場における採水と試験の実施
3月中旬 :試験結果のとりまとめ
3月中旬~下旬 :検討委員会における報告
3月下旬 :環境省への業務報告書の提出
4月 :事業場への試験結果報告書の提出

5.結果の取り扱いについて

  本実態調査は、試験法検討案の改訂や排水管理ガイドライン(案)の作成に資するものです。結果を踏まえて、試験法検討案の改訂や排水管理ガイドライン(案)の作成を行うことから、試験結果は、事業場名を非公表としたうえで、守秘義務契約又はそれに類する契約の範囲内で、専門家で構成される検討会の資料として活用し、最終的には環境省請負業務報告書としてとりまとめさせていただきます。さらに、事業場責任者の許可を受けた上で学会等の発表に使用させていただく可能性があります。

 なお、守秘義務契約の範囲で、今回の結果を事業場のCSR等の企業活動に活用されてもかまいません。また、仮に生物影響が認められた場合の対応策等に関するご相談については国環研にて別途お受けいたします。

6.応募方法

対象事業場: 水質汚濁防止法の排水規制対象となる特定施設を有する事業場。
(ただし、海水を主な排水として排出している事業場は除く)
応募は原則、1企業につき1事業場でお願いしています。ただし業種が異なる事業場の場合は、複数応募していただけます。
募集件数: 4~8事業場程度。
応募件数が8事業場を超過した場合は、業種区分を考慮した上で、当方で選定させていただきます。また、事業場によっては複数回のサンプリングをお願いする場合がございます。
申込方法: 下記のいずれかの方法にてお申込みください。
①ウェブサイトの入力フォームによる申込み
https://project.nies.go.jp/events/risk/wet-survey/にアクセスし、ウェブサイト上から応募フォームに必要事項を記載の上、送信して下さい。
②電子メールによる申込み(①による申込みが出来ない場合)
下記を記載の上、件名を『事業場募集申込み』として
wet-survey2014@nies.go.jpに送信して下さい。
・申込者情報:氏名、会社名、職名、メールアドレス、電話番号、住所
・事業場情報:事業場名、業種区分(日本標準産業分類に基づく大・中・小・細分類の分類コードおよび項目名)、総排水量(m3/日)、住所
・本調査に応募する理由
応募期間: 12月15日(月)~1月5日(月) 
 
選考結果通知: 1月9日(金)までに電子メールにて送付いたします。
問い合わせ先: 国立環境研究所 環境リスク研究センター
担当:田村 (たむら)、鑪迫 (たたらざこ)
電話・FAX:029-850-2851
E-mail:wet-survey2014@nies.go.jp

関連新着情報

関連研究者

表示する記事はありません