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堆積物中における内在性ベントス由来の環境DNAの動態解明、及び野外での適用可能性(令和 5年度)
Elucidation of the dynamics of endogenous benthic-derived DNA in sediments and its potential application in the field.

予算区分
基盤研究(B)
研究課題コード
2325CD104
開始/終了年度
2023~2025年
キーワード(日本語)
環境DNA,十脚類,干潟,定量PCR,アナジャコ
キーワード(英語)
environmental DNA,decapods,tidal flat,qPCR,mud shrimp

研究概要

種の存在量を推定する新指標として、生態学分野で環境DNA解析が注目されている。環境DNA解析はこれまで水の分析を主とし手発展してきたが、最近では、堆積物中の環境DNA(sedDNA)による過去の特定魚種の存在量の推定なども行われつつある。しかし現状では、存在量の指標としてsedDNA分析を用いる際の根本的な前提条件として重要な知見であるはずのsedDNAの生産や分解の動態、sedDNAの濃度や保存過程に対する堆積物特性の影響、野外堆積物におけるsedDNA濃度分布の均質性、sedDNA指標と従来法との相関関係、といった点が不明である。堆積物中には、内在性ベントス(堆積物中に埋在する底生生物)に由来するsedDNAが高濃度で存在する可能性が高い。そのため本研究では、物理化学的に単純な環境条件(実験室内条件)において内在性ベントス由来のsedDNAの理想的な動態を解明し、その後、より複雑な環境条件(野外自然条件)でのsedDNA分析の適用可能性を検証することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

環境DNA分析により干潟におけるベントス類の分布情報を得るため、十脚類など内在性ベントスに由来するsedDNAの動態を物理化学的に単純な環境条件(実験室内条件)にて解明し、その後、より複雑な環境条件(野外自然条件)でのsedDNA分析の適用可能性を検証する。具体的には、次の4つの観点からsedDNAの特性を解明し、検証していく:(1) sedDNAの生産と分解に関する動態の定量、(2) sedDNA濃度やタフォノミーに対して堆積物特性が与える影響、(3) 天然堆積物におけるsedDNAの分布の均質性を様々な空間スケールで解明、(4) sedDNAデータと採集・観察による従来法データとの相関関係を数量的な比較。

今年度の研究概要

今年度は、sedDNAの生産と分解に関する動態の定量のため、十脚類の室内飼育実験を行い、sedDNA量の変化を計測する。また、干潟において対象種の巣穴から様々な距離で採取した堆積物からsedDNAをふうしゅつし、対象種のDNA量を定量する。これにより、野外におけるsedDNAの分布を把握する。

外部との連携

千葉大学(研究代表者)、東邦大学

課題代表者

今藤 夏子

  • 生物多様性領域
    環境ゲノム研究推進室
  • 室長(研究)
  • 博士(学術)
  • 生物学
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