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アジア途上国における気候中立社会の実現に向けたロードマップの定量化に関する研究(令和 4年度)
Research on Quantification of Roadmap toward Climate Neutral Society in Asian Developing Countries

予算区分
1-2202
研究課題コード
2224BA006
開始/終了年度
2022~2024年
キーワード(日本語)
アジア,気候中立社会,ロードマップ,電源構成,運輸部門,食料需要
キーワード(英語)
Asia,Climate neutral society,Roadmap,Electricity supply miz,Transport sector,Food demand

研究概要

本研究では、これまで開発してきたアジア太平洋統合モデルをもとに、アジア各国の共同研究者と連携して、各国における気候中立社会の実現に向けたロードマップを、電力需給、輸送量、食料需要といった諸課題について詳細に示すとともに、それらを踏まえたマクロなエネルギーシステムや経済活動の観点から明らかにする。これは、日本における経験から、気候中立社会を実現するマクロなロードマップの提示だけでは不十分で、気候中立社会の実現に向けて各国の障壁となる個別課題をどのように解決するかを示すことが求められるためである。具体的には、再生可能エネルギーの主力電源化に伴って生じる時間単位での安定供給への対応、生産活動の変化や都市の拡大による貨物や旅客の輸送量の変化、食料需要とバイオマス需要との競合、負の排出技術を含めた新たな技術の普及、生産や消費活動の変化を含めた社会変容などである。
本研究課題では、これらの個別課題を解決するためのモデルをアジア途上国に対して個別に開発、適用し、そうしたモデル開発における課題を明らかにするとともに、個別に必要となるデータ収集を行い、気候中立社会と整合する個々の課題の経路について定量的な分析を行う。また、こうした分析を、これまでに開発してきたスナップショット型ツール、動的経路を明らかにする技術選択モデルや応用一般均衡モデルと連携することで、国全体の発展の枠組みの中での個別課題の取り組みの評価もあわせて行い、精緻で具体的な気候中立社会へのロードマップを定量的に提示する。
対象とする国は、これまでに構築してきた研究ネットワークやデータの利用可能性から、各項目において個別に対応する。電力需給に関してはタイ、台湾を、食料需要に関してはインドネシアを、交通需要に関してはタイをそれぞれ対象国としてモデル開発や定量的な分析を行う。また、これらのモデルをアジア各国で共有するための課題についても明らかにし、ベトナムやマレーシアなど他のアジア諸国への適用可能性について検討を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

対象国において電源計画や食料など個別課題を検討することを目的とした個別モデルの開発を行う。パラメータの特定や将来シナリオの想定に必要となる統計データや現状における計画、政策などは、各国の研究者と連携して収集し、入力データの整備を行う。対象国はタイ、インドネシア、台湾であり、中国、インド、ベトナム等においても同様の情報収集をすすめて、アジア全体を対象としたロードマップへのインプットとする。また、開発した各国を対象とする個別モデルや、これまでに開発してきたスナップショット型ツールや技術選択モデル、応用一般均衡モデルの更新版(分析期間の21世紀後半への延長など)を用いて、個別に予備的試算を外部機関と連携して行い、試算結果についての課題をとりまとめる。
次年度には、予備的試算の結果を踏まえて、各国研究者と連携して、モデルの改善や入力データの見直しを行うとともに、個別課題のモデルとマクロな統合モデルを統合する作業を行い、更新されたモデルを用いて気候中立社会の実現に向けたロードマップの定量化を試算する。
最終年度には、それまでに得られた定量分析の結果をもとに、アジア途上国において気候中立社会の実現に向けたロードマップを各国研究者と連携して更新、作成する。また、本研究で開発する個別課題のモデルやスナップショット型ツールや技術選択モデル、応用一般均衡モデルである統合モデルとの連携について、課題の抽出を行い、これらの取り組みを他国に展開するために必要となる作業やデータについて各国で共有できるようにマニュアルを作成する。

今年度の研究概要

対象国において電源計画や食料など個別課題を検討することを目的とした個別モデルの開発を行う。パラメータの特定や将来シナリオの想定に必要となる統計データや現状における計画、政策などは、各国の研究者と連携して収集し、入力データの整備を行う。対象国はタイ、インドネシア、台湾であり、中国、インド、ベトナム等においても同様の情報収集をすすめて、アジア全体を対象としたロードマップへのインプットとする。
また、開発した各国を対象とする個別モデルや、これまでに開発してきたスナップショット型ツールや技術選択モデル、応用一般均衡モデルの更新版(分析期間の21世紀後半への延長など)を用いて、個別に予備的試算を外部機関と連携して行い、試算結果についての課題をとりまとめる。

外部との連携

研究参画者:長谷川知子准教授(立命館大学)、張潤森准教授(東京大学)
また、下記の研究機関と共同でデータ収集、モデル開発、シナリオ定量化を行っている:中国・国家発展和改革委員会能源研究所、中国科学院広州能源研究所、中国環境科学研究院、北京大学、北京航空航天大学、インド・アーメダバード大学、ボパール建築計画研究所、タイ・タマサート大学、ネパール・アジア技術経営大学、インドネシア・ボゴール農業大学、バンドン工科大学、マレーシア・マレーシア工科大学、ラオス・天然資源環境省、韓国・延世大学、台湾・工業技術研究院

課題代表者

増井 利彦

  • 社会システム領域
  • 領域長
  • 博士(工学)
  • システム工学,土木工学,経済学
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担当者