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環境庁企画調整局長 安原 正

やすはらただしの写真

 1972年6月,ストックホルムで開催された国連人間環境会議を記念して,世界各国では毎年この日を6月5日を「世界環境デー」とし,環境問題の重要性を認識するための各種行事が行われており,我が国では,この日を初日とする一週間を「環境週間」として,環境問題に対する国民への啓蒙活動を行っている。

 さて,我が国の環境の状況は,これまでの国及び地方公共団体を通じた環境保全対策の推進の結果,硫黄酸化物による大気汚染等のように着実に改善されてきた分野もあるが,大都市を中心とした窒素酸化物による大気汚染,閉鎖性水域や都市内中小河川の水質汚濁等は依然としてきびしい状況にある。また,先端技術の進展等に伴う新たな汚染可能性への対応や快適で質の高い環境の実現等に対する国民のニーズも高まっており,さらに,フロンガス等によるオゾン層破壊,二酸化炭素等の増加による地球温暖化などの地球環境問題についても,我が国の国際的な貢献を求める声が一層高まっている。

 このように多様化,複雑化,広域化の度合いを増しつつある現下の諸問題に対して,環境保全施策を適切に推進していくためには,政策の基盤となる調査・研究や環境保全技術の開発が不可欠であり,環境行政における科学の重要性は,ますます高まっているものと考えられる。

 このため,環境庁としては,国立公害研究所を始め様々な機関の研究者,科学者の方々との緊密な連携を図りつつ,環境研究の推進に努めてまいる所存である。
 特に,国立公害研究所におかれては,我が国の環境研究の中核機関として,地球規模の環境変動のメカニズム解明,各種環境汚染物質のリスク評価,大都市環境汚染の改善等のための手法開発といった面で,積極的な研究の実施に当たられるとともに,他の国公立研究機関さらには海外の研究機関との間で学際的,国際的な研究協力の展開を図っていただくことを希望している。

 また,今年も6月5日からの「環境週間」には,国立公害研究所では研究発表会,研究施設公開等の行事が催された。これらの機会を通じて国民に対し最新の研究成果を提供し,環境問題に関する国民の理解と協力を得るよう努力を重ねられることも,あわせて念願する次第である。