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2013年10月31日

「サマー・サイエンスキャンプ2013」開催報告

【行事報告】

 毎年恒例となった高校生の体験イベント「サマー・サイエンスキャンプ」(主催:(独)科学技術振興機構)に、今年も国立環境研究所では2プログラム3コースを実施しました。

 7月下旬、急に夏らしい陽射しが強まり始めたころに「環境と生物」プログラムの「オゾンの植物影響」と「多様な藻類の観察」の2コースを実施しました。「オゾンの植物影響」では、実験用植物に光化学オキシダントの原因物質であるオゾンを曝露したときの様子から、可視障害が品種によって大きくことなることを観察し、植物の環境ストレスに対する防御機構が多様化していることを実験しました。また「多様な藻類の観察」では、研究所内の池で採取した藻類試料と、所内で保存している藻類株を観察して、藻類の多様性の理解と分離、培養、保存技術について体験し、藻類の作ったオイルの抽出実験から藻類の有用性についても学びました。両コースとも電子顕微鏡やガスクロマトグラフィーなど、普段は使わない実験装置などに苦労しつつも、参加者同士が助け合いながら実習に取り組み、無事に結果をまとめることができました。

 「東京湾の魚介類と環境~本当の姿を実体験!~」プログラムでは、横浜市漁業協同組合のご協力を賜り、東京湾内の2地点において水質観測と魚介類のサンプリング(底曳き網)を行いました。同じ湾内でも地点や水深によって水質や環境が異なることを観察し、そこに棲む生き物の違いなどを実体験しました。底曳き網で採れたサンプルは、翌日研究所内で種別等の同定を行いました。時期は8月、一晩経った魚介類のにおいも忘れられない経験となったことでしょう。参加した高校生たちは、時折行き交う船からの波をうけての魚介類の採集や、終日立ったままでの同定作業、多くのデータを分析しまとめる作業など、教科書で学ぶ理科の授業とは全く異なる4日間に満足した様子でした。高校生からは「研究者って地道なんだなぁ」という声も聞かれました。

 国立環境研究所ではこれらのイベント参画を通して次代を担う子供たちに、環境研究や科学への関心を一層高めてもらうとともに、将来の選択肢を広げることにも協力していきたいと考えています。このイベントに限らず、多くの皆様にご参加いただきご理解いただける機会を増やしていきたいと考えております。

(企画部広報室)