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環境儀No.39 「『シリカ欠損仮説』 と海域生態系の変質-フェリーを利用してそれらの因果関係を探る-」 (平成23年1月発行)

 人口の増加と生産活動の活発化による河川流域での窒素、リンの負荷の増大が問題となっていますが、同時に大規模なダム建設によるシリカの沈降による減少も、植物プランクトンなどの海洋生態系の構造に大きな影響を与える可能性があり懸念されています。内陸から海洋へのシリカの供給量の減少は、ケイ素の殻を持つため成長にシリカを必要とするケイ藻の発生量に影響し、有害赤潮を形成する渦鞭毛藻類などのシリカを必要としない藻類の発生を助長する可能性があります。さらに、植物プランクトンの種が変化することで、食物連鎖の流れが変化し、海洋生態系の構造自体に影響を与える可能性も懸念されています。本号では、このようなシリカの供給量の減少に端を発する、海洋生態系での様々な影響を、フェリーを利用した海洋生態系の長期モニタリングで得られた琵琶湖から瀬戸内海での栄養塩や植物プランクトンの発生量のトレンドから検証した研究を紹介しています。

 

(環境儀No.39ワーキンググループリーダー 稲葉一穂)