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 受賞者氏名:伏見暁洋,長谷川就一,藤谷雄二,田邊潔,小林伸治
 受賞年月日:2009年8月20日
 賞の名称:日本エアロゾル学会2009年度論文賞 (日本エアロゾル学会)
 受賞対象:加熱脱着GC/MSによるディーゼル排気及び大気中ナノ粒子の有機成分分析 (エアロゾル研究, 23(3), 163-171, 2008)

 受賞者からひとこと:
 本論文では,加熱脱着GC/MS法(試料を直接加熱し,揮発した成分をGC/MSで分析する方法)による高感度な有機成分測定法を開発し,大気中やディーゼル排気中のナノ粒子に適用しました。装置の変更や測定条件の最適化によって,従来より二桁程度感度を高め,世界最高レベルの高感度法を確立しました。また,極微量(約20μg)の粒子標準試料での定量精度の検証にも成功しました。同法によって,粒径30nm以下のナノ粒子の有機組成が初めて明らかになり,ディーゼル排気中や沿道大気中のナノ粒子の組成がエンジンオイルに似ていることや,成分の揮発が大気中でのナノ粒子の速やかな消失に寄与している可能性を示しました。この成果は,ナノ粒子という超微量で素性が分からないものの正体を知りたい一心で,高感度化を追究した結果,辿り着いたものです。今回の受賞を励みに,今後もさらなる発展を目指していきたいと思います。最後に,共著者である高橋克行氏(日本環境衛生センター)と斉藤勝美氏(秋田県健康環境センター環境部,当時)に謝意を表します。(http://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/23/3/163/_pdf/-char/ja/)


 受賞者氏名:藤巻秀和
 受賞年月日:2009年9月16日
 賞の名称:学術賞 (社団法人 大気環境学会)
 受賞対象:大気中の粒子状物質,揮発性有機化合物の健康影響に関する研究と分科会活動による学会への貢献

 受賞者からひとこと:
 大気環境学会より,大気環境分野における学術上,ならびに社会的に顕著な業績をあげた人におくられる学術賞を受賞しました。受賞対象となった研究業績は,1)粒子状物質による免疫増強効果の機序解明および環境とアレルギー疾患との関連を解析する研究基盤の確立,2)低濃度VOC曝露とシックハウス症候群との関連,3)有害化学物質曝露による神経—免疫軸のかく乱モデルの開発に関する研究です。低濃度VOC曝露による健康影響の解明は,特に神経—免疫間での変動を理解し,過敏状態の誘導に関わる感受性の要因を明らかにする上で必須な課題です。残念ながら,低濃度曝露の影響研究はなかなか重要性を理解されてこなかった分野ですので,今回の評価を大変うれしく思っております。また,少しでも多くの若い研究者が興味をいだき健康影響研究に参入するきっかけになれば幸いです。なお,本研究の成果は,これまでの先輩,同僚,及び所外の多くの共同研究者による指導・協力・支援の賜物であり,皆様に心より感謝の意を表したいと思います。


 受賞者氏名:寺尾有希夫
 受賞年月日:2009年9月18日
 賞の名称:Poster Award (8th International Carbon Dioxide Conference)
 受賞対象:Seasonal cycle and interannual variability of atmospheric radiocarbon (14CO2) over the western Pacific (8th International Carbon Dioxide Conference, Abstracts, T1-011, 2009)

 受賞者からひとこと:
 第8回国際二酸化炭素会議でPoster Awardを授与されました。対象となった研究は,北川浩之(名古屋大学)・向井人史・野尻幸宏・内田昌男・柴田康行・荒巻能史・Shamil Maksyutov・Vinu K. Valsala(国環研)各氏との共著です。本会議は四年に一度開催されるもので,約500件のポスター発表が行われました。その中で優秀な研究と認められたことを著者一同大変光栄に存じます。研究内容は,西太平洋における大気二酸化炭素中の放射性炭素同位体比(14CO2)の季節変動と年々変動を調べたものです。14CO2は炭素循環の理解を進める上で注目されているトレーサですが,その測定は世界的に見ても非常に限られています。国環研・地球環境研究センターでは,1994年より定期船舶を用いて西太平洋上の大気を採取し,14CO2の測定を行っています。今回の発表では,観測データを報告するとともに,大気輸送モデルを用いて14CO2の季節変動を調べました。その結果,北半球では,14CO2の季節変動が化石燃料起源のCO2の大気輸送に起因することが新たにわかりました。一方で,14CO2の年々変動にはわからない点が多く,精緻な観測とモデリングを行うことで追究していきたいと考えています。


 受賞者氏名:山田正人,遠藤和人
 受賞年月日:2009年9月18日
 賞の名称:Award for Excellent Poster Presentation (Korean Society of Waste Management)
 受賞対象:Development of industrial waste stream database in Japan (13th Korea-Japan Jt.Int.Sess., Abstracts, 133-135, 2009)

 受賞者からひとこと:
 韓国の廃棄物学会は日本の廃棄物(資源循環)学会よりも先に設立され,25年の歴史がある学会です。今回の受賞は今年の春に発表した,ここ10年来取り組んでいる産業廃棄物フローのデータベース作りに関する研究に対するものです。今年はインフルエンザ禍もあって日本からの参加者が例年よりも少なく,「よく来た」という功労賞的なところもあるかと思いますが,由緒ある学会から賞をいただき光栄です。