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「理数博士教室」 開催報告

【研究所行事紹介】

企画部 広報・国際室

 8月5日(水)から7日(金)までの3日間,茨城県教育委員会主催の平成21年度未来の科学者育成プロジェクト事業「理数博士教室」(一昨年度まで「ミニ博士コース」)が実施されました。同事業は茨城県内の研究機関での学習を通して,科学への興味・関心を高め,未来を担う児童生徒の育成を図ることを目的としています。国立環境研究所は全面的にこれに協力し,環境リスク研究センターの山元昭二主任研究員の指導下で,「適切な手の洗い方とうがいの仕方」コースを実施し,県内の中学生5名が参加しました。

 コースの目的は,疾病予防のため,手を洗うこととうがいの効果を科学的な方法で知り,適切な方法を考えることです。乳酸菌の増殖を指標として,手を洗うことの効果を知るため,手を水,石鹸,消毒液で洗い,その前後の手のひらを特別な寒天培地にスタンプしました。また,適切なうがいの時間を知るため,1回あたりのうがい時間を変えてうがいを行い,そのうがい水を希釈して特別な寒天培地に塗り,36時間培養し,乳酸菌数を測定しました。

うがいをしている時の様子。時間が長くなると苦しくなりますが,我慢しています。

 新型インフルエンザの感染の脅威が高まる中で,「手洗い」と「うがい」は個人で出来る感染防止の方法として推奨されていますが,その具体的な方法については明確ではありません。そのため,生徒たちは意欲的にこの実験に取り組み,1日目のうがいなどの実験では,実験ごとに,乳酸菌飲料を飲み,希釈と,乳酸菌が育ちやすく調整した寒天培地へのスタンプを繰り返して行いました。どの子の目にも真剣さが表れていました。2日目には,サンプル用寒天培地の24時間目の細菌数を数え,計算の仕方や図表の作り方を学びました。3日目には,各自の寒天培地(1人あたり42枚)の細菌数を数え,表を作って無事終わりました。12月にはこの実験をまとめてポスターにして発表する機会があります。どのようにまとめるのか楽しみです。

慣れないマイクロピペットを使っての希釈です。1万倍の希釈に挑戦しました。
特別な寒天培地に希釈液を慎重に滴下しています。
緊張する瞬間です。

 生徒の感想文の中に,「研究は楽しいこと,大変なことがあって,結果が出てくることがわかりました」とか「博士の気分を味わえたこと,一生忘れないと思います」という言葉を見て,国環研での3日間が彼らにとって貴重な体験になり,科学実験の面白さや楽しさを感じてもらえたと思いました。