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「サマー・サイエンスキャンプ2008」 実施報告

【研究所行事紹介】

企画部 広報・国際室

 国立環境研究所では7月22日(火)から7月24日(木),7月28日(月)から7月30日(水)までの各3日間,サマー・サイエンスキャンプ2008を実施いたしました。このキャンプは文部科学省の後援のもと(独)科学技術振興機構が主に高校生を対象として,夏休み期間中に開催する先進的科学技術の体験型合宿です。当研究所では1999年から毎年本プログラムに参画してきました。今年は3つのコースを開催し,多数の応募者の中から選ばれた20名の高校生がプログラムに参加しました。

 『南の島から地球温暖化を考える(開催地 : 波照間)』コースでは,人が住んでいる日本最南端の島である波照間島に設置された当研究所の大気観測所(モニタリングステーション)を会場に実施しました。ここでは参加者が住む地域で事前に採取した試料や,観測ステーションに登って採取した試料を使って二酸化炭素の蓄積状況を直に確認したり,地域ごとの二酸化炭素の濃度差について検討したりすることをとおしてどのように二酸化炭素が大気中に蓄積されるのか,二酸化炭素の測定方法などを学びました。企画当初から最大の懸念であった天候は,それを払拭するような素晴らしい天候に恵まれ,3日間生徒は南の島でのびのびと実習を行うことができました。

大気サンプル取ってます
実験のお手伝い

 『生物と環境 (開催地: つくばメインキャンパス)』では,Aコース「植物 (大気汚染の影響を観察しよう)」,Bコース「微生物 (微生物の多様性を覗いてみよう)」の2つに分かれて合宿学習を行いました。Aコースでは大気汚染が植物に与える影響を学びました。実際に光化学オキシダントをタバコの葉に暴露して生じる障害を観察し,植物が環境から受けるストレスをどのように防御するか,その多様性を学びました。細かい作業が多く,研究には手先の器用さも求められるのだと知るきっかけになったようです。Bコースでは洞峰公園から採取した土壌中の微生物から抽出した特定の遺伝子を遺伝子増幅装置 (PCR装置),電気泳動装置 (DGGE装置)を使って増幅・分離し多様な微生物遺伝子を確認する実習を行いました。実験では残念ながら思ったとおりの結果を得ることはできませんでしたが,参加者は研究成果がトライアンドエラーの繰り返しの結果生まれるものであると実感したようです。

タバコの葉はどれにしようかな~
重さ変わったかなぁ
いろんな薬剤があるね
これは何だろう…

 サイエンスキャンプに参加した生徒の中には将来研究者になりたいとの声も多く,研究者とはどのような仕事なのか,どのように実社会と繋がっているのかを直接研究者から聞くことができる今回のプログラムは貴重な体験となったようです。また学校の実験室にはない最先端の装置を使った実験が生徒の好奇心を満たし,今後の学習意欲を高めることに貢献できたと考えています。将来を担う高校生にとって科学と環境を結びつける一つのきっかけとなるように,より充実したプログラムを企画していきたいと考えています。