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国立環境研究所研究報告 R-152-2000(平成12年3月発行)
「NIES-Collection List of Strains Sixth Edition 2000 Microalgae and Protozoa」

 本リストは,当研究所の微生物系統保存施設において維持・管理されている微生物保存株のリストであり,今回で第6版を数える。表紙を飾る微細藻類の写真を見ると,微生物とはいっても多様な形態,色調の生物であることがよくわかる。すべて当施設で維持されている保存株である。環境問題にかかわる微生物研究を推進する上で,我々の微生物保存株の存在意義は高く,内外の多くの研究者に利用されてきた。また環境科学の分野のみならず,基礎生物学,農学,水産学,食品学,医学など様々な分野においても研究材料として活用されている。さて,今回のリストでは,掲載された株数は第5版(1997年)の622株から754株に増えた。これらの株について,分類・採集情報,培養条件等の基礎的な保存データが記載されるとともに,遺伝情報や生理・生態特性などの情報に関しても調査された範囲でリスト中に銘記されている。また培地組成など培養,維持を行う上で必要な情報や保存株を用いて行われた研究論文のリストが掲載されるなど,利用者への便宜が図られている。これを機に当施設の保存株が,一層利用されることを期待したい。

(生物圏環境部 河地正伸)

国立環境研究所研究報告 R-153-2000(平成12年3月発行)
「湖沼環境の変遷と保全に向けた展望」

 本報告書は,地公研との共同研究の成果報告である。

 冬期3~4カ月結氷する湖から最低水温が11℃で完全循環がおこらない湖,また,山地の湖と海岸付近に位置する湖など,日本の湖沼環境は多様である。が,どの湖沼もこの半世紀の間に大きな人為的改変を受けている。

 水質汚濁防止法による湖沼水質の監視が地方自治体の手で始められて30年になろうとしている。各湖沼とも長期にわたる水質や生物群集のモニタリングデータが蓄積されてきた。そこで,18の湖沼やダム湖(網走湖,阿寒湖,茨戸湖,支笏湖,洞爺湖,渡島大沼(北海道),中禅寺湖,湯の湖(栃木県),霞ヶ浦(茨城県),北潟湖,三方湖,水月湖(福井県),琵琶湖(滋賀県),日向神ダム,力丸ダム,広川ダム(福岡県),鰻池,池田湖(鹿児島県))で,これまでのデータを整理することにより,湖沼環境の現状と変遷を論じ,今後の湖沼保全に必要な研究や視点を述べた。

(地域環境研究グループ 高村典子)

国立環境研究所研究報告 R-154-2000(平成12年6月発行)
「21世紀への環境研究のプロローグ-国立環境研究所公開シンポジウム2000-」

 西暦2000年の本年は,20世紀を振り返り,来るべき21世紀の環境問題,あるいは環境研究を考えるにふさわしい年といえよう。国立環境研究所では,環境月間記念行事として,6月6日(火)東京国際フォーラム(東京・丸の内)において,「21世紀への環境研究のプロローグ」というテーマで,一般市民を対象に当研究所の研究成果を中心とした公開シンポジウムを行った。より多くの人に当研究所の活動を知ってもらい,また,環境研究について考えていただく契機となるよう,こうした形で公開シンポジウムを行うようになって今年で3回目となる。幸い,年々参加者が大幅に増してきており,今回は1200名を超える方に来ていただけた。

 シンポジウムの内容としては,まず第1セッションとして,「都市での快適な暮らしがもたらしたもの・・・大気汚染」をテーマに,3名の口頭発表が行われた。また,今回は,特別講演として,「奪われし未来」の共著者として有名なダイアン・ダマノスキーさんを招いて,「環境ホルモンが提起する重大な問題に,私たちは立ち向かう準備ができているか?」と題した講演をしていただいた。引き続き,第2セッションとして,「環境ホルモンとダイオキシン」をテーマに,3名の口頭発表が行われた。さらに21の幅広いテーマで,当研究所の取組みを紹介するポスターセッションが行われた。

 本報告書は,そのシンポジウムの要旨集という位置づけであり,当日の発表内容などを概観できるものである。また,巻末には,当研究所の研究スタッフの氏名が主な研究課題や連絡先とともに掲載されており,環境研究に携わる研究者情報としても参考になろう。

(研究企画官 滝村 朗)

国立環境研究所研究報告 R-155-2000(平成12年6月発行)
「自然風景地の利用調査法」

 自然風景地の利用調査に関する研究は少なく,調査結果を相互に比較できるような学術的な知見すら存在しない。そこで,自然風景地のレクリェーション利用に関する今までの調査を,整理してまとめた。主な内容は (1)国を代表するような風景地の利用把握の現状 (2)都道府県レベルの都市公園の利用調査の現状 (3)現場における利用行動の調査方法 (4)日本における風景地利用の歴史的変遷 (5)風景地の利用の国際比較を目指した調査である。また参考資料では,スイスにおける景観評価調査,英国のレジャー研究センターの国立公園の利用調査,ウィーン市で行われたキルヒナー氏の研究,日光国立公園の尾瀬における登山者の自動観測,東京都の公園調査,小石川後楽園における地図を用いた利用調査,上高地における被験者による観察調査,ドイツにおける歩行活動の3つの異なった概念,中国での頤園における公園利用調査,韓国での慶北永川稚山における自然公園の利用調査を紹介した。

(社会環境システム部 青木陽二)