研究発表会報告
乙間 末廣
6月は環境月間であり,その行事の一環として,本年も6月27日に平成9年国立環境研究所研究発表会が当研究所の大山記念ホールで開催された。石井吉徳所長の開会の挨拶に始まり,8件の口頭発表が行われた。最初の4件は,大気分野に関する地球環境研究の成果発表で,後の4件は地域の湖沼や大気に関する研究成果の発表であった。いずれの発表も豊富な観測データを基に,カラーで図示するなど工夫の様子がみられ,日頃の研究成果を分かり易く説明していた。場内からも質問が活発に出され,当研究所への関心と期待の大きさがうかがわれたが,質疑時間が幾分短かったように思われた。午前と午後の研究発表に挟まれて,18題のポスター発表およびデモンストレーションも中会議室とロビーで行われた。こちらもパソコン,写真,グラフなどを活用した労作も多く見られた。最後は,大井玄副所長によるまとめと次年度への課題によって締め括られた。
当日は研究所外部から約200名の参加者があり,研究所内の参加者と合わせ,会場は終日にぎわい,成功裏に進行した。
(おとま すえひろ,セミナー委員会幹事 社会環境システム部資源管理研究室長)
研究発表会プログラム
6月27日(金) 研究発表会
研究発表講演
- アジア大陸からの越境大気汚染を捉える 村野健太郎
- 北半球北極域オゾン層破壊の進行と日本への影響 中根英昭
- 気候モデルを用いた気候変動評価に関する研究 鵜野伊津志
- 宇宙からオゾン層の破壊を測る−衛星センサーILAS の観た極域成層圏− 横田達也
- 魚が変える湖の環境−中国東湖と十和田湖を例に− 高村典子
- 環境負荷の構造変化と都市の大気環境変化 若松伸司
- 大気中揮発性有機塩素化合物の健康リスク評価−環境中の有機塩素化合物の暴露量評価と複合健康影響に関する研究から− 相馬悠子
- 新しい湖沼環境指標 森田昌敏
ポスター・デモンストレーションセッション
- 環境庁の衛星搭載大気センサーILAS及びILAS-IIについて 鈴木 睦
- 定期フェリーを用いた海洋汚染観測−海水中の有害化学物質の高密度観測に向けて− 功刀正行
- 太陽エネルギー利用等の環境低負荷型技術を導入したエコオフィスシステムの概要について 近藤美則
- NOAA衛星受信画像検索システムの開発 清水 明
- 気候変動に関する国際交渉の行方 川島康子
- 気候変動による農業への影響 高橋 潔
- フロンやハロンなどガス状化合物の培養細胞を用いた遺伝毒性試験法の開発 白石不二雄
- ディーゼル排気暴露が鼻アレルギー様病態におよぼす影響 小林隆弘
- サバンナにおける家畜と野生動物の共通伝染病に関する研究 鈴木 明
- ADEOS衛星搭載リフレクター(RIS)を用いた大気微量分子の測定実験 杉本伸夫
- 成層圏エアロゾル上での不均一反応係数の測定 今村隆史
- 微生物によるセシウム−137の濃縮 冨岡典子
- 霞ヶ浦における農薬の濃度変化 井上隆信
- 高山域に分布する植物の環境適応性に関する研究−オンタデ・イタドリを例として− 名取俊樹
- 環境情報センターの活動およびデータベースの紹介 板橋正文
- アジア農業の将来を予測する 一ノ瀬俊明
- 地球資源情報データベース−GRID-つくば− 安岡善文