編集後記
今年の十大ニュースや世相を反映した流行語などが新聞やテレビで報道される季節となりました。1994年を振り返ると,環境問題に関するキーワードの一つとして,「持続可能性(サステイナビリテイー)」という言葉が浮かびます。本号の論評でも紹介されているように,この言葉は単に現状を維持するという意味としてだけではなく「発展」という語と合わせて使われる点が注目されます。国立環境研究所にとって1994年の十大ニュースのひとつは,設立20周年を迎えたことでしょう。これもまた,研究所が20年間「持続」してきたことではなく,この間絶え間なく発展しつづけてきたことをもって尊しとすべきものだと思います。また,環境研究の中には持続することによって始めて発展が期待できるものも多くあります。小生が4年前から取り組んでいる,熱帯林の生物多様性とその保全のための研究もそうした類の典型です。こうした「じわじわ」発展していくのが環境研究の特徴なのかもしれません。皆様,よいお年を。(N.K.)
目次
- 国立環境研究所に期待すること巻頭言
- “持続可能な発展”はパラダイム・シフト?論評
- ピグマリオン効果論評
- "The Structure of a local population and dispersal pattern in the Styan's Grassh opper Warbler, Locustella pleskei." Hisashi Nagata: Ecological Research, 8,1-9.(1994)論文紹介
- Biological Effects of Diesel Exhaust Particles. I. In Vitro Production of Super oxide and In Vivo Toxicity in Mouse. Masaru Sagai, Hiroki Saito, Takamichi Ichinose, Masahiko Kodama & Yoki Mori, Free Radical Biol. Med., 14, 37-47 (1993)論文紹介
- 「唐辛子とにんにくのハーモニー」海外からのたより
- 船底防汚塗料・有機スズによる海洋汚染と腹足類(巻貝)のインポセックス研究ノート
- 赤外線水分計を用いた岩石の水分飽和度の推定研究ノート
- 表彰・主要人事異動