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2012年10月31日

ナノ粒子・ナノマテリアルの生体への影響
- 分子サイズにまで小さくなった超微小粒子と生体との反応

環境儀 NO.46

平野靖史郎
ナノマテリアルは水に溶けにくい粒子状物質です。非常に小さな粒子の生体反応を組織・細胞・分子レベルで解明し安全性評価につなげる必要があります。

 ナノマテリアルとは、1~100ナノメートル(nm)の粒子状の物質や構造体をもつ物質のことで、フラーレンやカーボンナノチューブなどの新しい炭素系素材をはじめ、化粧品や日用品に使われている銀ナノ粒子や酸化チタンナノ粒子など、様々な物質が含まれます。

 これまでも、様々な粒子状物質の生体影響に関するデータが報告されてきましたが、ナノサイズまで小さくなった粒子は、きわめて分子に近い生体内挙動を示すので、これまでの粒子とは異なる影響を及ぼす可能性があります。そのため、ナノ粒子・ナノマテリアルのヒトの健康への影響を中心とした安全性評価は喫緊の課題になっています。最近では、共通のナノマテリアル安全性試験方法を策定するための国際的会議もさかんに行われています。

 ナノサイズの粒子は、呼吸器からだけでなく皮膚や消化管からも吸収されやすい性質があります。ナノサイズの粒子は非常に小さく取り扱うのが難しいので、生体影響に関する研究も遅れています。実験動物を用いた生体影響評価や、様々な細胞を用いた毒性発現機構を調べる実験方法を改良しながら、ナノ粒子やナノマテリアルの安全性評価の研究を続けています。

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