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2016年2月24日

SATテクノロジー・ショーケース2016

2016年2月4日(木)に、つくば国際会議場にてSATテクノロジー・ショーケース2016に出展してきました。

SATテクノロジー・ショーケース(http://www.science-academy.jp/showcase/15/)は、「異分野交流による知の触発」を目指す科学者や研究機関、企業等の交流団体であるつくばサイエンス・アカデミー(会長:江崎玲於奈)が主催するイベントです。2002年から開催しており、今回で15回目になります。今回のサブテーマは「ようこそ!インフラ技術のショーケースへ〜未来の豊かな生活を支える知恵と技術〜」です。つくばをはじめ首都圏で活躍する研究者・技術者・学生が集まり、研究成果を披露するイベントであり、研究所や学会の枠を越え、幅広い分野の研究に触れる貴重な機会です。また、高校生も発表しており、ユニークな研究や高い発表スキルに驚かされることも多いです。

私は「省エネルギー型の排水処理バイオリアクターの開発」というタイトルで発表しました。開発途上国では、汚染された水に起因する疾病の割合が高いため、医療や栄養状況の改善、安全な水の供給とともに、排水の適切な排除が重要となります。そこで、開発途上国にも適用できるような安価でシンプルな構造の排水処理技術の開発を目指した研究を行っています。“排水処理バイオリアクター”は、微生物を活用して排水中の有機物等の汚染物質を分解する技術であり、微生物の住処としてスポンジ担体を用いたことが大きな特徴です。本発表では、処理原理の紹介や海外での実証試験をポスターで紹介しました。ポスター会場では、参加者の方と貴重な意見交換をすることができましたが、特に印象的だったのは、高校生の参加者から「長期間の性能の安定性は?微生物保持機能の低下は無いのか?」など、学会発表の質疑のような鋭い質問を受けたことです(写真)。

会場にて
鋭い質問に立ち向かう筆者。

また、今回の特別講演とミニシンポジウムでは、インフラの長寿命化がテーマでした。土木分野においても異分野連携が進み、実用化に近い成果が出ていることにも驚かされ、今後の研究に向けて良い刺激を受けました。また、パネリストの方が言った「異分野交流は、言うのは簡単であるが、言葉が違う、文化が違う、目的が違うからとても大変。ただ、一緒に仕事して、汗かいて、謝りながら進めることが大切」というコメントが印象的でした。

複雑化する環境問題の解決のためには、今後、異分野の研究者・技術者との連携がより一層求められてくると思います。今回のイベントは、他の研究者の研究成果に触れ、異分野交流について考える良い機会となりました。
 
(地域環境技術システム研究室 小野寺 崇)