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2019年8月23日

福島県立福島高校の皆さんが低公害車実験施設を見学されました

令和元年8月1日(木)、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校である福島県立福島高校の皆さんが国立環境研究所へ見学に来ました。地球環境研究センターの江守正多・副センター長から地球温暖化についての講義を受けたのち、一行は低公害車実験施設を見学しました。低公害車実験施設の案内を地域環境研究センターの近藤美則・主席研究員(広域大気環境研究室)が担当しましたので、その様子をお伝えします。

低公害車実験施設で福島高校の皆さんを出迎えたのは電気自動車の先駆けである「ルシオール」。このルシオールは、約25年前に研究所の研究者が主導してメーカー13社と共同開発した電気自動車です。

見学日は猛暑日が続く8月で、気温は34℃とかなりの暑さでした。皆さん声には出ませんが実験施設へ一歩入ると「涼しい・・・」とほっとされた表情。それもそのはず、この実験施設は車の試験条件である気温(25℃前後)、湿度(50%前後)の環境に常に保たれています。

近藤主席研究員によると、2000年以前の東京に外勤して戻ってくると顔や衣類が黒く煤けるほど、自動車の排ガスで大気が汚れていましたが、現在は様々な研究機関による研究成果や行政の取り組み等によって排ガスが規制され、東京の大気はとてもきれいになっているそうです。

写真1: 手前が屋根が太陽光パネルになっている電気自動車「ルシオール」です。その奥は説明中の近藤美則主席研究員(広域大気環境研究室)。

次に、施設の中枢、車両の走行を室内で模擬するシャシーダイナモ設備を備えた環境実験室に移動します。こちらでは実際に路上を走っているのと同じような条件を作り出し、様々な試験条件下で車両の走行テストをします。同じ条件を何度も繰り返したり、高温高湿や氷点下等の厳しい条件で走行したり、また長時間にわたる走行テストは、人ではなくロボットが運転することもあります。

写真2: 走行テストの方法を説明中。会話しながら走行テストができる運転ロボットだったら嬉しいと、生徒さんたちに、より人間に近い自動運転ロボットの開発を促す近藤主席研究員。

続いて操作計測室に移り、排ガスの測定方法を説明、そのあと試験結果の一端を紹介しました。これらの結果は、環境行政の施策立案における基礎データなどに利用されるとともに、カーメーカー等にも提供され、より環境負荷の小さい自動車の開発などに役立てられます。

写真3:エンジンの模型と様々な自動車から集めた排ガスが濾し取られたフィルターを見ていただきながら仕組みを説明しています。

みなさん真剣に耳を傾けていましたが、近藤主席研究員による「この部屋の気温は何度だと思う?」、「湿度は何%?」などの数字が絡む質問に対して、「22.5」という数字を必ず付けて、「22.5℃」、「22.5%」とお約束のように答えてくれる面白い生徒さんがいらして、大変和やかで楽しい見学会でした。福島高校の皆さん、またぜひいらしてください。

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