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2021年11月12日

震災後に続けてきた干潟調査の結果がNHKの番組(東北地方で放映)で紹介されました

金谷弦主幹研究員(海洋環境研究室)は,東日本大震災の3年後から,福島県 のいわき市にある鮫川河口干潟の調査を続けていました。鮫川干潟は生物多様性がとても高い場所で,震災後に多くの希少種もみつかっています(金谷ら 2019).調査をすすめるなかで,復旧工事の干潟への影響が危惧されるように なったため,関係機関と一緒に干潟の生きものを保全するための方法を模索しました。番組では,その結果について紹介されています.また,うまくいった点,うまくいかなかった点をふまえ,「防災,減災と生態系保全の両立をどのように実現していくか」がこれからの課題と考えられました.(詳細は関連記事をご欄ください)

NHKの掲載記事と番組リンク

NHKサイカルjournal掲載記事

NHK総合「東北ココから」2021年10月29日(金)19:30~20:00
「海と生業(なりわい)はどこまで再生したか」

調査と撮影の様子


シオクグという塩生植物帯の中での調査風景を撮影中.カワザンショウガイという小さな巻き貝の仲間など,こういった環境でしかみつからない干潟の生きものがいます.


宮城県が北限の希少種ハマガニ(環境省準絶滅危惧,宮城県絶滅危惧I類).鮫川河口にはハマガニの群生地があります.関係機関との協力により,彼らの生息地を保全することが出来ました


堤防工事から数年がたち,垂直護岸の前面にヨシが回復してきました.岸際に泥も溜まってきたため,ベンケイガニの仲間など,多くの生き物が戻ってきました.


復旧工事によって干潟上に張り出す形で作られた防潮堤.残念ながらこのエリアでは地形と環境が変わってしまい,多くの生きものたちがみられなくなりました.環境変化を少なくするためのベストな方法は,その場その場で異なります.どうして変わってしまったのか,その原因を調べることも大切です.

(写真:金谷 弦)

参考文献:金谷ら(2019)福島県いわき市鮫川干潟における大型底生動物の多様性-東日本大震災後の状況と復旧工事による影響-.日本ベントス学会誌 73: 84–101. https://doi.org/10.5179/benthos.73.84

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