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2017年7月14日

大気特別セミナーを開催しました

2017年7月12日に中会議室において、中国・清華大学のZhang Qiang教授、韓国・建国大学のWoo Jung-Hun教授をお迎えし、大気特別セミナーが開催されました。

両教授は、大気汚染物質などの大気中への排出量を推計する研究でそれぞれの国の指導的な研究者であり、この分野のアジアを代表する研究者として世界的にも知られています。今回は、東アジアにおける短寿命気候汚染物質(Short-Lived Climate Pollutants: SLCPs)の排出量と影響に関する国際ワークショップ((独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(S-12)主催)への出席のために来日された機会を利用して、ご講演いただくことになりました。

Zhang教授からは、“Transboundary health impacts of transported global air pollution and international trade”と題して、最近Nature誌に掲載された同名の論文内容を中心とした講演が行われました。大気汚染物質の地域を跨いだ輸送(越境大気汚染)が世界的な課題となる中、ご講演では、物理的な”越境“に加えて、国際貿易に起因する大気汚染物質のグローバルなソース・レセプター関係とそれにともなう健康被害の評価が示されました。

Woo教授からは、“Analysis of fine particle impacts over Korea due to SLCP emission changes in Korea and China”と題して、現在韓国において進められている大気質改善計画の内容が詳しく紹介されました。米国と韓国とが協力したマルチプラットフォーム大気観測の結果を使った排出量推計の精緻化の話題や、韓国の将来の大気質を改善するための政策に関する将来シナリオ策定、(AIMのような)統合評価モデルと排出量推計を含む大気質モデルとの統合など、日本においても重要な研究テーマとして認識されているトピックスの韓国での最新情報が報告されました。

セミナーには、以前から両教授と研究上の交流がある国立環境研究所の大気系研究職員の他、他の研究センターあるいは研究所外部からも20名を超える参加者が集まり、活発な質疑応答がなされました。

セミナー終了後に講演者と参加者で撮影した記念写真
セミナー終了後に講演者と参加者で記念撮影
(左から6番目・Woo教授、同7番目・Zhang教授)

大気環境モデリング研究室 菅田誠治・永島達也