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2017年9月29日

森林生態系における炭素循環のプロセスと土壌呼吸

コラム1

 二酸化炭素の主要吸収源となる森林生態系における炭素収支の解明は、地球規模の炭素循環を理解する上で重要な役割を担っています。森林生態系の炭素収支は、幾つかのプロセスに分けられます。

 まず、林冠部および林床部の植生が、光合成によって大気から吸収した二酸化炭素は、森林全体の総一次生産量(gross primary production, GPP)と呼ばれます。そして、GPPから植物体(葉、地上木部、根)の呼吸(独立栄養呼吸とも言います)によって放出された二酸化炭素を差し引いたものが、生態系の純一次生産量(net primary production, NPP)です。

 さらに、NPPから微生物による落葉や枯死根、倒木などの分解(微生物呼吸とも言います)によって放出された二酸化炭素を差し引いた分が、生態系の純生産量(net ecosystem production, NEP)となります。ここで、NEPの一部分は植物(主に樹木)の現存量の増加分であり、残りは有機物として土壌中に蓄積されます。

 研究分野によって、様々な手法で特定のプロセスを直接測定、または推定しています。その中で、「毎木調査法」は最も伝統的な林学的手法であり、植物現存量の変動量、落葉・落枝量、枯死木量および枯死根量を定期的に調査することで、森林のNPPを推定できます。

 一方で、近年広く用いられている微気象学的手法では、観測鉄塔によって森林上空の二酸化炭素濃度と風速を連続測定し、森林生態系と大気間の二酸化炭素の瞬間移動量を推定します。また、この瞬間移動量の積算値は森林生態系のNEPとなります。ここで、微生物呼吸(Rh)は、NPP-Rh=NEPとして、林学的手法と微気象学的手法で相互比較することが可能です。なお、根呼吸と微生物呼吸を合わせて「土壌呼吸」と呼びます。

図1 森林生態系における炭素循環プロセスの概念図

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