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脱炭素化を目指した汚染バイオマスの先進的エネルギー変換技術システムの開発と実装シナリオの設計及び評価(令和 5年度)
Development of Advanced Energy Conversion Technology Systems for Utilization of Radioactively-contaminated Biomass and Implementation Scenarios towards Decarbonized Society

予算区分
3
研究課題コード
2123BA012
開始/終了年度
2021~2023年
キーワード(日本語)
バーク混焼,放射性セシウム挙動,湿潤バイオマス,炭素利用・隔離,地域創生,再生可能エネルギー
キーワード(英語)
bark co-combustion,behavior of radiocesium ,we biomass,carbon utilization and sequestration,regional renovation,renewable energy

研究概要

事故由来放射性物質汚染という特殊事情からの脱炭素まちづくりへの貢献を目指して、バイオマス利活用技術の開発と開発技術の実装のために、三つの研究課題(サブテーマ)を行う。サブテーマ1では、汚染樹皮(バーク)を含む木質バイオマスの発電技術の確立を目指し、実施設試験調査及びラボ流動床炉等を用いてバークと木質チップとの混合燃焼やガス化の二種類のエネルギー変換技術を開発し、両変換過程における放射性セシウムの挙動を明らかにする。また、残渣利用や技術特性の数値化も検討する。サブテーマ2では、家畜糞尿等の廃棄物系バイオマスの利活用を目指し、サブテーマ1のガス化と連携した炭素利用・貯留(CCUS)付き連携発電システムの核となる先進的メタン発酵技術を開発する。また、放射性セシウムを含めて物質・エネルギー収支モデルを構築する。サブテーマ3では、福島県浜通りの自治体を対象に、サブテーマ1-2の研究開発を踏まえた地域将来シナリオと、バイオマス生産・サプライチェーン整備に資する地域資源データベースを開発する。また得られた成果から創生される地域循環共生圏における持続可能性等を評価し、社会実装における課題を整理し施策を提言する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

サブテーマ1では、汚染バークと木質チップから高温熱処理により発電するための安定燃焼及びガス化技術を開発し、放射性セシウムの挙動を明らかにして安全な熱処理技術を確立する。加えて、処理残渣の安全性の評価を通して残渣の適正処分法もしくは炭素貯留法を提案する。これらの熱処理技術に対して放射性物質を含めた物質・エネルギー収支モデルを提示する。
サブテーマ2では、バイオマスのメタン発酵技術に、CCUS技術として金属触媒等を利用しつつ、ガス化や発酵において副生成するCO2等をメタンへ変換する技術(バイオメタネーション)を付加した新技術を開発するとともに、炭素収支を明らかにする。また、物質・エネルギー収支解析に加えて、放射性セシウムの挙動を解明し、放射性セシウムを安定的に制御する手法を構築する。
サブテーマ3では、上記の開発技術をキーとして、具体の対象地域において、脱炭素化に資するバイオマスエネルギー転換を中心とした復興実装シナリオを開発する。社会実装を検討するための地域資源データベースを構築し、サプライチェーンを提案する。新産業創出も含め復興の進展に伴う段階的技術導入シナリオを提案する。地域協働により導入計画を検証しつつ、脱炭素化がもたらす総合的な地域創生効果を検討し、災害からの復旧の際にバイオマスエネルギーを導入するための方法論を整理する。

今年度の研究概要

サブテーマ1では、前年度から引き続き複数の木質原料のガス化実験を行うとともに、施設調査に基づく物質・エネルギー収支モデルを作成する。また、サブテーマ2の連携技術を目標としたガス化を実施し、発酵技術の効率化や炭素系残渣の貯留を等含めてガス化条件の最適化を検討する。サブテーマ2及び3と協力して実証のための意見交換や自治体などの対話を行う。
サブテーマ2では、CO2バイオメタネーション、家畜等糞尿のメタン発酵、サブテーマ1と連携したガス化ガス及び残渣の受け入れを同時に実現する統合システムの実験的検討を行う。 CO2のメタン化、炭素系残渣の貯留量等を軸とした統合システム内のバランスの観点からの各要素技術(熱変換処理、発酵など)の操作条件の最適化と炭素収支を解析しつつ、放射性セシウムの挙動解明と物質・エネルギー収支モデルの作成を行う。 サブテーマ1と協力して実証のための意見交換や対話を行うとともに、サブテーマ3と連携して実装の便益等を提示する。
サブテーマ3では、前年度までに開発された復興パスウェイを精査し、バイオマス物質フロー、環境影響などを推定し、新電力などの設立も見越した総合的な地域創生効果を検討する。 ゼロカーボンや復興計画にかかる行政主導の委員会等に提案し、地域実装の実現性を高める。これらの成果を一般化し、災害からの復旧の方法論として検討し、ガイドライン化する。

外部との連携

農研機構、福島県環境創造センター、ヤンマーエネルギーシステム、栗田工業、福島県、福島県再生可能エネルギー関連産業推進研究会

課題代表者

倉持 秀敏

  • 資源循環領域
  • 副領域長
  • 博士(工学)
  • 化学工学,化学,工学
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担当者