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短寿命気候強制因子による農作物影響の定量的評価(令和 4年度)
Quantitative assessment of the impacts of SLCFs on agricultural crops

予算区分
戦略的研究開発
研究課題コード
2125BA004
開始/終了年度
2021~2025年
キーワード(日本語)
短寿命気候強制因子,農作物,影響
キーワード(英語)
Short-Lived Climate Forcers,Crop,Impact

研究概要

本課題では大きく分けて以下の二つを実施する。
1 主要農作物(コメ・小麦・トウモロコシ・大豆)を対象に様々な SLCFs/LLGHGs 排出シナリオにおけ
る気候変動の地域的な影響を定量的に評価すること
2 水田からのメタン排出に関して緩和策を考慮した排出量推計を行うこと まず1の主要農作物への影響評価については、テーマ 1 から提供される様々な SLCFs/LLGHGs 排出シナリオでの気候シミュレーション結果を作物成長シミュレーションモデルに入力することにより行う。 作物シミュレーションモデルについては課題代表者(増冨)が開発している MATCRO (Masutomi et al. 2016a,b)を用いる。なお MATCRO はこれまで水稲のみを対象としてきたが、本申請課題においてその他 の主要作物(小麦・トウモロコシ・大豆)を対象としたモデル開発を行う。その際、SLCFs/LLGHGs の中で も農作物へ直接的影響を及ぼすオゾン及び CO2 の影響、また SLCFs の中でも直達・散乱日射成分を変化 させるエアロゾル等の影響については高度なモデル化に取り組む。さらに開発したモデルをサブテーマ (1)と共同で統合陸域シミュレータ(ILS)へ組み込み、健康や洪水・渇水等の影響を含めた統合的評価を可 能にする。またサブテーマ(4)から提供される高解像度気候データを用いて空間詳細な影響評価を行う。
次に2の水田からのメタン排出量推計では、研究分担者(伊藤)が開発してきた陸域生態系物質循環モデ ル VISIT(Ito and Oikawa, 2002; Ito and Inatomi, 2012)を用いる。本研究では施肥・水管理の変更等の水田メタン排出削減技術を VISIT に組み込み、緩和策を考慮した水田メタン排出量を時空間変動も含め推計す る。この推計された水田メタン排出量はテーマ 3 に提供され、高精度なメタン排出量推計に貢献する。 また VISIT を ILS に組み込み、陸域からのメタン排出について、テーマ 1 で利用されるモデルとの相互 作用を考慮できるモデルをサブテーマ(1)と共同で開発する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

本研究では以下の手順で研究を進める。
1 MATCRO-Wheat、MATCRO-Maize、MATCRO-Soybeansの開発
2 水田メタン排出削減技術を組み込んだ改良 VISIT の開発
3 MATCRO及びVISITの統合陸域シミュレータ(ILS)への結合(拡張ILSの開発)
4 SLCFs地域別・組成別排出量感度シミュレーションを用いた地域別・組成別・農作物別影響感度
の評価
5 緩和策を考慮した水田メタン排出量の推計
6 複数の SLCFs/LLGHGs 排出シナリオにおける農作物への定量的影響評価高解像度気候データを用いた空間詳細影響評価

今年度の研究概要

1 MATCRO-Wheat、MATCRO-Maize、MATCRO-Soybeansの開発
2 水田メタン排出削減技術を組み込んだ改良 VISIT の開発

課題代表者

増冨 祐司

  • 気候変動適応センター
    アジア太平洋気候変動適応研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(地球環境学)
  • 工学,農学,物理学
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担当者