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将来の原子力災害に環境面から備えるための包括的な環境管理手法の構築(令和 4年度)
Development of a comprehensive environmental management approach to prepare for future nuclear disasters from environmental perspectives

研究課題コード
2125AV006
開始/終了年度
2021~2025年
キーワード(日本語)
放射能汚染廃棄物,放射性セシウム動態,遺伝的影響評価
キーワード(英語)
Radioactively contamintated wastes,radiocesium behavior,genetic impact assessment

研究概要

将来の原子力災害に環境面から備えるための包括的な環境管理手法の構築として、?国内の原子力施設立地地域における原子力災害廃棄物処理計画の検討を行う。?福島第一原子力発電所事故後初期における放射性物質初期動態把握を行う。?将来の原発事故による野生生物への遺伝的影響を評価するために、日本全国の原発周辺にて野生アカネズミを捕獲し、事故前試料として保存及び遺伝情報の取得を図る。この取り組みを通じてアカネズミを野生指標生物として利用できる環境を構築する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

?福島第一原発事故後の放射能汚染廃棄物等を対象とした処理システムを検証し、その結果をもと に原子力施設立地地域における原子力災害予測を踏まえて原子力災害廃棄物処理計画を検討し、処理 支援システムを構築する。具体的には、3 年目までに福島第一原発事故後の処理システムの検証を進め るとともに、原子力災害予測を踏まえた一般環境中の汚染状況から除去土壌や汚染廃棄物量を推計す る。また 5 年目までに、事故後に選択可能な処理方策を多面的に考慮できる処理支援システムを構築し て、原子力災害廃棄物処理計画の策定に向けた基礎資料を作成・公開する。
?福島第一原発事故後の初期における放射性物質の動態を把握し、 それに基づき環境管理手法を構築する。具体的には、3 年目を目途に、主として福島県浜通り地方の河 川流域を対象とした原発事故由来の放射性物質の初期動態を把握する。また 5 年目までに、その結果を 踏まえた事故後初期の環境モニタリングのあり方や環境管理手法を検討し、技術指針として取りまとめる。
?将来の原子力発電 所事故による野生生物への遺伝的影響を評価するため、全国の原子力発電所周辺にて野生アカネズミ を捕獲し、事故前試料として保存するとともに遺伝情報を取得する。具体的には 5 年間に、原子力発電所 周辺において一ヶ所あたり 20-30 頭のアカネズミを捕獲し、頭骨の標本化、肝臓や筋肉の収集及び生殖 器の組織標本作製を行う。また、一部試料よりゲノム情報を取得し、捕獲場所、属性情報及び遺伝情報 の一部を公開する。以上の取組により、将来の原子力災害発生時の放射性物質の環境モニタリング、放 射能汚染廃棄物管理、野生生物への放射線影響等、環境面から備えるための包括的な環境管理手法の 構築に貢献する。

今年度の研究概要

?福島原発事故由来の汚染廃棄物について、特定一廃等の処理状況について事故から10年間の記録を精査すると共に、福島原発事故による放射性物質放出挙動と廃棄物発生状況との関係性評価に着手する。
?福島原発事故後初期の放射性セシウムの大気動態モデルの高空間解像度化を継続して進める。さらに大気動態モデルと森林生態系モデルの統合利用により、事故後初期の林内でのセシウムの挙動を再現するとともに、早期のリター除去が初期から中期の挙動に及ぼす影響を検討する。
?将来の原発事故による野生生物への遺伝的影響を評価するため、日本全国の原発周辺にて野生アカネズミを捕獲し、事故前試料として保存及び遺伝情報の取得を図る。今年度は東海第二原発(茨城県)及び柏崎刈羽原発(新潟県)周辺の20?圏内での捕獲と試料保存を行うと共に来年度以降の捕獲地選定に向けて、各原発周辺の植生や土地所有者等に関する情報を収集する。

外部との連携

日本原子力研究開発機構

備考

以下の個別の事業科目を統合する形で研究計画を作成(予算コード)
・原子力災害廃棄物処理計画の作成(241GB11)
・原子力災害発生時初期の河川流域環境管理手法の構築(241GB12)
・原子力災害発生時の野生生物への影響評価に向けた先行モニタリング(241GB13)

課題代表者

林 誠二

  • 福島地域協働研究拠点
  • 研究グループ長
  • 博士(工学)
  • 土木工学,林学
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担当者