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赤外分光法による大気中イソプレンの動態と大気質への影響の長期変動に関する研究(令和 3年度)
Studies on long-term variations of the isoprene distribution in the troposphere and its effects on air quality using infrared spectroscopy

研究課題コード
2123CD008
開始/終了年度
2021~2023年
キーワード(日本語)
フーリエ変換赤外分光,イソプレン,長期動態
キーワード(英語)
Fourier transform infrared spectroscopy,Isoprene,Long-term dynamics

研究概要

大気中の揮発性有機化合物の1/3を占めるイソプレンは、大気中の酸化過程により対流圏オゾンやホルムアルデヒド、エアロゾル等の大気汚染物質を生成する。本研究は、大気中のイソプレン濃度を太陽光赤外吸収スペクトル観測データから解析する手法を確立し、対流圏オゾンや窒素酸化物、ホルムアルデヒド等の大気汚染物質と併せて上空のイソプレン濃度の過去20年間以上にわたる長期動態を、世界で初めて観測的に明らかする。大気中のイソプレンと大気汚染物質の季節変動・長期変動の詳細から、イソプレンと大気汚染物質の濃度変動の要因を化学輸送モデルも活用して解明する。本研究によって、イソプレンの酸化・消失過程における不確実性が減少し、大気質に深く関連する対流圏オゾンのモデルバイアス問題等が解消され、モデル計算による大気質評価と将来予測の精緻化の実現に貢献する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究では、日本の都市域とその周辺及び清浄地域において地上設置高分解能FTIRによる太陽光赤外吸収スペクトル観測データから、イソプレンと対流圏オゾン、窒素酸化物、ホルムアルデヒド等の大気汚染物質の平均気柱混合比(カラム混合比)を同時解析し、大気中のイソプレンと大気汚染物質の長期にわたる動態を明らかにする。さらに、ラグランジュ型化学輸送モデルを用いたシミュレーションと実測値との比較を通じてイソプレンと大気汚染物質の濃度変動の関係と要因に関する我々の理解の精緻化を行う。

今年度の研究概要

・稼働中の装置に加えて名古屋で高分解能FTIRによる観測を開始する。そのために必要な装置調整と消耗品交換を行う。なお、FTIRによる観測は最終年度以降も継続して行う。
・観測データの一部を用いてイソプレン平均カラム混合比のリトリーバル解析を試みる。波長帯などの解析条件を変えて最適な解析条件を求め、解析指針をまとめる。
・全ての観測データに対して対流圏オゾン等の大気汚染物質の平均カラム混合比解析を行う。
・既存のラグラジアン型化学輸送モデルにイソプレンを含む対流圏化学反応モデルとエアロゾル形成モデルを組み込み、テストシミュレーションができるようにする。
 上記の研究の中で、研究分担者としてつくば、陸別の装置による観測を主導し、得られた結果の整理・発表を行う。

外部との連携

研究代表者:名古屋大学長濱智生准教授、研究分担者:東北大学村田功准教授

課題代表者

森野 勇

  • 地球システム領域
    衛星観測研究室
  • 室長(研究)
  • 博士 (理学)
  • 物理学,化学
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