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資源消費が誘発する地球改変量:影響の原因者である消費国が果たすべき役割(令和 2年度)
Global change caused by resource consumption: The role influential consumer countries should play

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1820CD019
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
資源採掘,サプライチェーン,衛星画像解析,産業連関分析,マテリアルフロー分析,関与物質総量
キーワード(英語)
mineral extraction,supply chain,remoto sensing,input-output analysis,material flow analysis,total material requirement

研究概要

本研究では、資源消費に伴う『影響の原因者(消費国)と影響を被る主体(産出国)との空間的乖離』の解明・視覚化を解析の柱として、世界全体および日本の経済活動が、国際サプライチェーンを通じて、世界の国・地域にどの程度の資源採掘と採掘に伴う地球改変を誘発しているかを定量化する。加えて、採掘活動や資源採掘に伴う地球改変が誘発している社会的問題や環境問題を定量・定性的に可視化する。これにより、組織(国や企業)が、注視すべき国・地域や経済活動を明らかにし、社会の持続可能性を高めるための管理方策を議論する。事例研究としては、突出した採掘量の鉄(Fe)、銅(Cu)に加えて、食糧生産に必須なりん(P)、および、これらと関係性の高い物質(例えば、ニッケル(Ni)など)を取り上げる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

世界全体および日本の経済活動が、サプライチェーンを通じて誘発する資源消費量、そして、資源消費に伴う地球改変量(TMRと土地改変量)を定量化する。また、定量・定性的な情報を踏まえて、資源消費に伴う地球改変が与える影響を可視化する。加えて解析を通じて、注視すべき国・地域や管理するべき日本の経済活動を同定し、資源消費が誘発する採掘に伴う地球改変量とその影響の管理方策を明らかにする事を目指す。更に、研究を通じて、効果的な情報発信・伝達を可能とする実感できる視覚化に努める。解析は、アジア経済の発展に伴って急速な資源消費の拡大が生じている90年代以降に焦点をあてて、複数の年次を対象とすることで経年変化を含めてデータ整備と解析を進める。

(a) リソースロジスティクス: 世界全体、および、日本の経済活動がサプライチェーンを通じて誘発する資源消費量を解明する。この為に、サプライチェーンを通じたモノの流れ(リソースロジスティクス)を同定する。また、日本の産業構造と国際サプライチェーン構造との接続を可能とするGLIOを適用することで、日本の経済活動が誘発する資源利用ネットワークを解明する。
(b.) 資源消費に伴う地球改変量: 世界全体、および、日本の経済活動が、資源消費を介して各国・各地域に引き起こしている地球改変量(TMRとLand-use change)を明らかにする。これにより、優先して、日本の組織(国あるいは組織)が、対処すべき課題を同定する。
(c) 地球改変が与える影響: 各国・各地域における資源採掘や資源採掘に伴う地球改変が引き起こしている社会的問題や環境問題を、定性的情報および定量的な情報を含めて整理して、可視化する。これにより、社会の持続可能性を高めるために取り組むべき課題を同定する。

本研究では、目的達成の為に、4つの課題を設置する。各課題については、研究代表者が研究分担者と共に主体的に取り組む。分析の核となる【課題1】サプライチェーンに内在するホットスポットの同定については、経済学の専門家である松八重(東北大)と共に取り組む。また、解析の為の【課題2】サプライチェーン・ホットスポット分析の為の基盤情報整備は、リソースロジスティクスの解析については、代表者に加えて、GLIOの開発実績を有する南斉(国環研)と松八重(東北大)、地球改変量(TMRおよびLand-use change)の解析については、鉱山の生産計画立案ツールの開発を手掛ける村上(東大)、リモートセンシングを用いた観測技術研究に実績のある山野(国環研)、TMR係数の算定を手掛ける山末(立命館)と共に実施する。また、【課題3】地球改変量とその影響の管理方策、および、【課題4】実感できる視覚化については、図解化・可視化を専門とする富田(東海大)および代表者を中心に、全ての研究参画者で取り組む。

今年度の研究概要

 前年度に引き続いて、操業実態の反映や精緻化に向けて、国・地域ごとの傾向や鉱山ごとの傾向を反映できるように物質フロー・サプライチェーンモデルの改良、および、土地利用強度指標の精緻化・精査を進める。鉱山の衛星画像解析については、非植生である裸地帯および植生・非植生が混在する農地帯における採掘領域の面積推定手法について検討する。加えて、分析事例を拡充しつつ、更なる効率的な研究実施のために、衛星画像解析を支援するプログラム開発などを進める。また、各解析における解析事例の拡充に際しては、鉱山操業と環境負荷という観点についても踏まえて、注視すべきケーススタディの選定・拡充に取り組む。
 更に、各国・各地域における資源採掘や資源採掘に伴う地球改変が引き起こしている社会的問題や環境問題を、定性的情報および定量的な情報を含めて整理・可視化すると共に、確立した手法をもとに、リサイクルを含む技術イノベーション等が採掘活動量等に与える影響の評価にも取り組む。加えて、可視化の際には、公開用のツール作成を含めてインフォグラフィック等の手法を活用することで効果的な情報発信に努める。
 加えて、資源利用の持続可能性を強化する為の管理方策の検討を進める。また、上記を通じて、最終年度である事を意識して、プロジェクトおよび各事例解析
の取り纏めに注力する。

外部との連携

<分担者(外部)>
村上進亮(東京大学大学院工学系研究科、准教授)、松八重一代(東北大学大学院環境科学研究科、教授)、山末英嗣(立命館大学理工学部、准教授)、富田誠(東海大学教養学部、准教授)

備考

自然共生プログラムとの連携(分担者:山野博哉)

課題代表者

中島 謙一

  • 資源循環領域
    国際資源持続性研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,材料工学
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担当者