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植物起源VOCs発生量の全球高精度推定とその大気化学・気候学的インパクト(令和 2年度)
Global high-accuracy estimation of vegetation BVOCs emission and its impacts on atmospheric chemistry and climate

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
2023CD001
開始/終了年度
2020~2023年
キーワード(日本語)
大気化学,生物起源揮発性有機物質,生態系モデル
キーワード(英語)
Atmospheric chemistry,Biogenic volatile organic compounds,Ecosystem model

研究概要

本研究は、陸域生態系(植物)起源の揮発性有機化合物(BVOCs)の、大気への放出量分布を全球規模で定量的に解明するものである。本課題では、研究代表者・分担者らが独自に開発を行ってきた、大気化学・気候モデリング、陸域生態系モデリング、衛星・地上リモートセンシング、大気化学データ同化システム、および地上観測など最新の研究手法を駆使し、多元的・包括的な評価を行うことで、高精度なBVOCs発生量の推定を実現させる。BVOCsは大量に大気に放出され、大気化学反応を通じて大気環境・気候へ全球規模で大きく影響すると考えられる。本研究では、高精度化されたBVOCs発生量推定を導入・反映した大気化学・気候シミュレーションを実施し、過去〜現在〜将来のBVOCs変動と、その大気質・気候変動における役割について、科学的に確度の高い結論を導き、大気環境変動・気候変動の定量的理解を向上させる。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、まず、陸域植生から大気へのBVOCs放出量の時空間分布を全球規模で高精度推定する。その上で、過去〜現在〜将来のBVOCs全球変動の再現・予測を行うことで、気候や大気環境におけるBVOCsの役割を定量的観点から見直し、気候変動・大気環境変動の定量的理解や予測精度の向上に繋げる。まず、研究代表者と分担者がそれぞれ独自に開発を行ってきた大気化学・気候モデルCHASER(MIROC-ESM)および陸域生態系微量ガス交換モデルVISITを軸として、地上BVOCsフラックス・濃度観測データに加え、ホルムアルデヒド(HCHO)等のBVOCs酸化の中間生成物の衛星・地上リモートセンシング観測、およびCHASERによる大気化学データ同化システム(TCR)など、本研究の分担者・協力者がそれぞれリードしてきた手法・観測をフルに活用し、現状のBVOCs放出量のモデル推定を最大限に高精度化(最適化)する。その後、最適化されたVISITモデルにより過去〜現在〜将来の全球BVOCs放出変動計算を実施し、CHASERモデルによる大気化学気候シミュレーションとリンクさせることで、BVOCs変動が大気環境・気候に与える影響について定量化・評価を行う。

今年度の研究概要

地上・衛星観測による検証データを総合的に整理し、VISITにおける、放出量計算方法や放出係数の調整・修正を行う。修正されたVISIT のBVOCs 放出量について再検証を行い、このプロセスの繰り返しによりVISIT の最適化を行う。BVOCs フラックス観測の知見からも、VISIT 計算の修正・改良を試みる。

外部との連携

名古屋大学(研究代表者機関)、千葉大学

課題代表者

伊藤 昭彦

  • 地球システム領域
    物質循環モデリング・解析研究室
  • 主席研究員
  • 博士(理学)
  • 生物学,地学,林学
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