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我が国の食品ロス削減による環境・経済・社会への影響評価に関する研究(令和 2年度)
Impact assessment on environment, economy and society of food loss reduction in Japan

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 3-1903
研究課題コード
1921BA005
開始/終了年度
2019~2021年
キーワード(日本語)
食品ロス,ライフスタイル,サプライチェーン,持続可能開発目標
キーワード(英語)
food loss,lifestyle,supply chain,SDGs

研究概要

近年、国連食糧農業機関(FAO)により世界全体で人の食用に生産されている食料の3分の1が食べられずに廃棄されている実態が明らかになり、食品ロスの削減に関心が高まっている。持続可能な開発目標(SDGs)では、ターゲット12.3において、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品の廃棄を半減させ、収穫後損失等の生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」ことが目標に掲げられた。また、我が国においても第4次循環型社会形成推進基本計画において、「家庭から発生する食品ロスを、2030年度までに2000 年度比で半減」することが目標となった。しかしながら、食品ロスの削減目標が達成された場合に、環境・経済・社会の各側面にどのような影響が生じる可能性があるかについて、十分な検討は行われていない。食品ロスの削減は、SDGsのゴール・ターゲットに掲げられている他の環境・経済・社会に関わる課題と密接に関係しているため、その影響は多方面に及ぶことが予想される。加えて、我が国においては、2030年にかけて高齢化や人口減少、情報通信技術(ICT)の進展などにより、食品ロスの質と量が変化していくことが予想されるため、将来の不確実性を考慮して、食品ロスの削減策を検討していく必要がある。
このような背景のもとで、本研究では2030年までの食品ロスの削減策を提示し、その環境・経済・社会に及ぼす影響を明らかにすることによって、我が国の第5次環境基本計画の重点戦略、および第4次循環型社会形成推進基本計画に設定されている食品ロス削減の目標達成に資する情報を提供することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

フードチェーンのどの段階で発生する食品のロスが、環境、天然資源、経済に大きな損失を及ぼしているかを明らかにする。次に、BAU(なりゆき)における2030年度までの一般家庭および食品関連事業者からの食品ロスの発生量を予測し、これら2つの分析結果を踏まえて、複数の評価基準を用いて食品ロスの削減目標を達成するためのシナリオを作成する。続いて、作成したシナリオにもとづいて削減目標が達成されたときの、世界の環境、天然資源、栄養不足人口への影響を分析し、また、国内の環境、経済、雇用への影響を分析する。最後に、以上の分析結果にもとづいて、食品ロスの削減方法と環境・経済・社会への影響の関係を整理する。

今年度の研究概要

2012年を対象に、我が国の食品ロスによるGHGの過剰な排出、天然資源(農地、水資源、エネルギー、肥料)の無駄な利用、経済的損失をLCAの手法を用いて明らかにする。国内の輸送、加工、流通、消費、廃棄時におけるGHG排出、天然資源利用、および経済的損失について評価を行い、先行研究の成果と合わせてライフサイクルを通した食品ロスの影響を評価する。分析で扱う食品の品目数は、FAOの食料需給表の94品目を基本とする。
また、将来の経済状況、高齢化、人口減少による世帯構成の推移、ライフスタイルの多様化による食料消費パターンの変化、ICTの進展などを考慮して、BAUにおける2015年度から2030年度までの食品ロスの発生量を一般家庭と食品関連事業者の各々について推定する。一般家庭からの食品ロスの発生量については、「平成27年度地方自治体における食品廃棄物等の再生利用取組 実態調査」(環境省)における発生量を基準年(2015年度)の基礎情報とする。これに加えて、食品ロス統計調査(農水省)、家計調査(総務省)等の情報から、2015年度の品目別の食品ロス発生量を推定する。そして、将来の家計の所得水準(内閣府)、食料価格の見通し(FAO)、人口・世帯数の推定値(国立社会保障・人口問題研究所)等の情報を用いて、2030年度までの一般家庭からの食品ロス発生量の予測を行う。

外部との連携

本課題は、東京工業大学 棟居洋介助教が課題代表者を務めている。

課題代表者

増井 利彦

  • 社会システム領域
  • 領域長
  • 博士(工学)
  • システム工学,土木工学,経済学
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担当者