- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1819CD001
- 開始/終了年度
- 2018~2019年
- キーワード(日本語)
- 核生成
- キーワード(英語)
- nucleaetion
研究概要
星間空間を漂うダストの数密度、サイズ、化学組成、結晶構造、形態はダスト生成の初期過程である気相中での核生成に支配される。近年、観測技術の向上に伴い、質量放出星周でのダスト生成モデルと観測の不一致が顕在化し、再考が求められるようになった。一方で、シリケイトなどの酸化物系ダストの核生成経路が極めて多様であることが理論、実験的に明らかになってきた。現状のダスト生成モデルに核生成を組み込み、観測とモデルの不一致を解消するために、気相分子から分子クラスター、ナノ粒子への成長素過程を一貫して理解する必要がある。本研究では、シリケイトダスト生成を模擬した実験系において、0.1-100nmスケールでの物質進化を“その場” 測定する。ダストの前駆体である過飽和気相中の分子クラスターを捉え、気相分子、クラスター、最終生成物であるダストを紐付け、質量放出星近傍での物理・化学プロセスを解明することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:
全体計画
本研究では、「ダストの核生成経路は、気相中の前駆体によって決定されているのではないか?」という我々の仮説を検証する。雰囲気を調節した実験チャンバー内で、材料となる金属を加熱蒸発させる.蒸発した材料分子は対流によって冷却し、過飽和な気相からダストを模擬したナノ粒子の煙が生成する。窓と光学系を連動させながら駆動することで、赤外分光スペクトルの空間分布を測定し、核生成を “その場”測定する。本研究では、 FT-IRの光学系をシリケイト前駆体クラスターが特徴的なスペクトルを示す波長領域 (8.0-12.5 um) に特化し、過飽和気相中の分子、クラスターを検出する。さらに、白色光源を用いたFTIRに比べ明るく、高感度な測定が行えるレーザー分光法を新たに導入することで、高波数分解能で、これまでに測定できていない気相中の前駆体物質を同定する。初年度は、実験装置の移転、光学系の再構築を行う。モデル物質やガスなどを用いて、レーザー分光法を組み込んだ、実験系を確立する。次年度に、Mg、Fe比、酸素分圧などを変え、出発物質と前駆体、最終生成物の1対1対応を行うことで核生成過程と前駆体物質を紐付ける。これまでに過飽和気相中の分子、クラスターと、そこから生成するナノ粒子を対応づけた研究はなく、どのような分子がダストの材料になっているのかは未知である。第一段階として、Mg、Fe原子とSiO分子が結合した分子クラスターが生成するかどうかを明らかにする。 第二段階として、核生成の前駆体となる “大きな” クラスターを同定し、天体でどの分子クラスターの生成を考えればよいのか明らかにする。
今年度の研究概要
初年度は、実験装置の移転、光学系の再構築を行う。モデル物質やガスなどを用いて、レーザー分光法を組み込んだ、実験系を確立する。
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