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絶滅危惧鳥類の人工多能性幹細胞の樹立と始原生殖細胞への誘導(平成 31年度)
Establishment of induced pluripotent stem cell and PGC derived from endangered avian

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1921CD012
開始/終了年度
2019~2021年
キーワード(日本語)
絶滅危惧種,遺伝資源保存
キーワード(英語)
endangered animal,preservation of genetic resource

研究概要

生物多様性ホットスポットである我が国には、3155種もの絶滅危惧種が生息している。全ての危惧種を保護増殖出来れば理想的だが、現実には難しい。本研究では、保護増殖の一助として、絶滅危惧鳥類の幹細胞を樹立・保存し、資産として次世代への引き継ぎを計画する。
本研究では、(1)申請者らが開発した効率的な鳥類の人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立方法を応用し、生殖細胞の保存が事実上不可能な絶滅危惧鳥類の体細胞からiPS細胞を樹立する。(2)樹立したiPS細胞から、始原生殖細胞様細胞(PGCLC)への分化誘導法を開発する。
鳥類生殖細胞の安定的な保存は事実上不可能である。一方でiPS細胞は安定的な保存と生殖細胞への分化誘導が可能である。本研究は、我が国固有の絶滅危惧種と、我が国で開発されたiPS細胞をドッキングさせた異分野融合研究である。本研究は次世代の日本人へ我が国の生物多様性を確実に引き継ぐ責務を果たす一助となる。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

本研究では、iPSC細胞の樹立からPGClike細胞への誘導、性質の解析までを実施する。具体的には以下の流れで実施する。
初年度:体細胞由来のiPS細胞の樹立方法の確立と樹立したiPS細胞の機能解析
2年度目:樹立したiPS細胞から、始原生殖細胞様細胞(PGCLC)への分化誘導方法の確立
3年度目分化誘導した始原生殖細胞様細胞の性質評価


今年度の研究概要

初年度目は、iPS細胞の樹立を試みる。その後、樹立した細胞の性質の評価を実施する。
先行研究で、我々の研究グループでは鳥類のモデル動物であるニワトリの体細胞由来のiPS細胞の樹立に成功した。具体的にはMyoD遺伝子の転写活性領域をOct3/4を連結させ、転写活性を強化することで、これまで難しいとされていた鳥類の効率的なiPS細胞の樹立に成功した。本研究では、この先行研究で明らかにした鳥類のiPS細胞樹立方法を基盤にして、絶滅危惧鳥類のiPS細胞の樹立を試みる。なお、もと細胞は国立環境研究所タイムカプセル棟に保存済みの細胞を使用する。

課題代表者

片山 雅史

  • 生物多様性領域
    環境ゲノム研究推進室
  • 研究員
  • 博士(農学)
  • 農学,生物工学,生化学
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