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バイオガス化施設における残留性有機汚染物質等の排出実態把握と排出制御法の構築(平成 30年度)
Study on emission behavior of POP-like compounds in biogas production plants and emission control for them

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1719CD015
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
バイオガス,メタン発酵,残留性有機汚染物質,分配挙動,多媒体モデル,物理化学パラメータ
キーワード(英語)
Biogas,Methane fermentation,Persistent organic pollutants,Distribution behavior,Multimedia model,Physicochemical properties

研究概要

生ごみ等の廃棄物系バイオマスからのエネルギー回収施設としてバイオガス化施設(メタン発酵施設)の導入が進みつつある。しかし、都市ごみや汚泥を原料とした場合には残留性有機汚染物質(POPs)等の混入が懸念され、施設内のそれらの挙動や排出実態はほとんど明らかになっていない。そこで、本研究では、バイオガス化施設内の汚染物質の挙動と排出実態を把握し、原料や発酵形式が挙動等に与える影響を明らかにする。また、施設内の汚染物質の挙動を予測可能な多媒体モデルを開発するとともに、排出削減の観点からメタン発酵条件を最適化し、汚染物質の排出制御・削減の可能性を提案・検証する。多媒体モデルの計算では、汚染物質の分解速度や物理化学パラメータが必要であり、これらのパラメータを実測・整備することも目的である。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

初年度と2年度では、まず、分析化学的手法を用いて原料や発酵形式ごとにバイオガス化(メタン発酵) 施設における汚染物質のマスバランスと排出実態を把握する。次に、微生物工学的手法を用いて、メタン発酵における汚染物質の分解速度を測定するとともに、ガス化機能を落とさずに分解機能を向上せる運転方法を開発する。一方、化学工学的な手法を用いて、発酵槽内における汚染物質の挙動の基礎となる物理化学パラメータを明らかにし、バイオガス化施設を多媒体モデル化して、施設内の汚染物質の運命を解明する。最終年度では、発酵技術開発の成果と多媒体モデルを組み合わせて汚染物質の排出を最小化できる運転法を提案し、運転法の有用性を実施設等で検証する。

今年度の研究概要

(1)バイオガス製造(メタン発酵)施設における汚染物質の挙動把握では、 メタン発酵原料を汚泥等との混合ごみとした複数施設において、残留性有機汚染物質等の濃度を分析し、各プロセスでの各媒体への分配挙動と施設外への排出実態を明らかにする。また、中温や湿式等の発酵のタイプごとに挙動等の特徴を整理する。
(2)メタン発酵実験による汚染物質の分解速度定数等の測定では、異なる原料を用いて分解速度パラメータ等を整備する。また、汚染物質除去を目的とした分解特性を明らかにして、分解菌の集積を進める。
(3)汚染物質の物理化学パラメータの測定と推算では、環境汚染物質の水/溶存有機炭素(DOC)分配係数(KDOC)及びその温度依存性を明らかにし、DOCの官能基等の構造とKDOCの関係について解析を試みる。一方、新規迅速物性測 定法の開発については、いくつかの標準物質を用いて測定法の信頼性を評価し、新規測定技術として確立する。
(4)多媒体モデルの開発では、前年度構築した多媒体モデルを実調査施設へ適用し、また、(2)や(3)で得られたパラメータ値を多媒体モデルへ反映させて、多媒体モデルをチューニングする。また、モデルを使って、実施設において環境汚染物質の排出削減法を提案する。

外部との連携

兵庫県立大学、トロント大学

課題代表者

倉持 秀敏

  • 資源循環領域
  • 副領域長
  • 博士(工学)
  • 化学工学,化学,工学
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担当者