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SDGs目標達成に向けた統合的実施方法の包括的検討(平成 30年度)
Comprehensive Research Design for Integrative Evaluation for Sustainable Development Goals

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 1-1801
研究課題コード
1821BA002
開始/終了年度
2018~2020年
キーワード(日本語)
持続可能な開発目標,気候変動
キーワード(英語)
sustainable development goals, climate change

研究概要

本研究ではSDGsを政策ツール及び分析ツールととらえ、これを軸として、多様な行為主体において、優先課題に応じた制度構築や政策推進モデルの形成を行い、SDGsの効果的推進に関する施策や行動の創出を支援するための政策指向の研究を実施する。とりわけ、SDGsの特徴として、(1)法的枠組みではないことから実施メカニズムは自由に構築できる一方、指標やその他の手段による「計測」が唯一の手段であること、(2)優先課題や入口は一つの目標やターゲットに関連する行動であっても、実際に政策や行動をとると、多くの目標やターゲットに関連する、インターリンケージという側面が重要であることから、本研究プロジェクトはこの二つの点に特に焦点を当てた研究を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

本研究は、SDGs推進のための統合的行動創出と指標を含む評価方法の検討の目標達成へ向け、国、自治体、企業といった多様なステークホルダーとの協働での研究推進により、SDGsの統合的目標達成へ向けて適切な実施を行い、これを測定するための方法を開発することを目的とする。具体的には、以下のサブテーマにより研究を推進する。
サブテーマ1(評価指標の構築):ポスト第五次環境基本計画を視野に入れた指標の検討を行う。そのため、国内外の既存指標の包括的整理、SDGsを活用した社会・経済・環境面の統合的指標の検討(例えば、環境と健康、保健、ジェンダー等の複合指標)、指標の効果、意味等の検討を行う。また、関係主体の主観評価手法の開発等の指標を超えた進捗評価方法を検討するとともに、国内外の都市・地域を対象に政策群とSDGs指標の関係性についての国際比較を行う。
サブテーマ2(行政とSDGs):SDGsが要求する総合的課題解決に焦点を当て、中央官庁の行政システムのありかたについての国内外比較や、SDGsを梃にした行政改革による環境の主流化の検討、地方行政のSDGsによる変革のありかたを検討する。特に自治体に関しては、ベストプラクティス事例を多く分析することで、SDGsの目標達成策のエッセンスを抽出する。
サブテーマ3(企業とSDGs):企業活動におけるSDGsの効果的実施方策による複数目標の同時達成策の検討、そのための政策支援や仕組みのありかた(例えば表彰制度やランキング制度等、競争原理に基づいた仕組みのありかた)の検討やそのための指標の検討を行う。

今年度の研究概要

平成30年度では、課題全体としては平成30年度は早々に研究推進体制を構築し、研究の推進を開始する。
行政(自治体)及び企業に関しては、各主体の優先課題をSDGsの観点から分析し、結果をステークホルダー参加型ワークショップ等を通じて、複数の目標を同時達成し、目標に対してネガティブな結果を導かないための行動や、行動をスケールアップするための方策(例えば認証や表彰制度など)、評価指標を同定する。これを実施するため、行政に関しては、国内では特に自治体に焦点を当て、共同研究に賛同の意思を示す自治体(現在のところ、兵庫県豊岡市、北海道下川町、岩手県釜石市、沖縄県読谷村等)との研究体制を初年度に確立し、研究を推進する。企業に関しては、共同研究賛同企業(現在のところ、住友化学、朝日新聞、博報堂等)と共同研究実施体制を確立し、研究を推進する。平成31年度は、自治体や企業でのワークショップを数回以上実施し、結果の取りまとめを行うとともに、シンポジウムを開催し、より広範に知見を収集する。特に指標に関しては、サブテーマ1にて横断的に指標を取りまとめる。
30、31、32年度を通じ、日本と他国における統合的政策推進体制、環境政策の他の政策分野への統合体制、グローバルSDGs推進体制、企業におけるSDGs推進体制やSDGsを軸としたプライベート・ガバナンスのあり方の包括的レビューや聞き取り調査を各サブテーマで推進する。成果は、31年度の国連総会でのSDGsレビューやGlobal Sustainable Development Report (GSDR) へのインプットとして提出し、その反応を含めて改定した成果を32年度に取りまとめ書籍として出版すると同時に次のステップの実施や研究へ向けた課題を明らかにする。

外部との連携

本研究は環境研究総合推進費で平成30年度に採択された統合領域課題(1-1801)であり、国連大学サステイナビリティ高等研究所及び慶応義塾大学大学院と連携して実施している。

課題代表者

藤田 壮

担当者