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森林土壌のカルシウム供給能に対する火山灰の寄与評価(平成 30年度)
Influence of volcanic ash in soils on Ca cycling in forest ecosystems

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1618CD008
開始/終了年度
2016~2018年
キーワード(日本語)
ストロンチウム同位体比,渓流水,地質
キーワード(英語)
Strontium isotope ratios, stream water, geology

研究概要

 森林土壌のカルシウム(Ca)供給は、生態系の酸性化抑制と生物への養分供給に重要である。日本では、森林土壌中に混入している火山灰が、Ca供給に大きく寄与していると考えられるが、火山灰は地形等の影響で不均一に分布しているため、集水域単位での寄与評価は困難であった。本研究では、渓流水中Caの起源を火山灰・基盤岩・大気に分け、それぞれの寄与率を評価する。まず、火山灰・基盤岩・降水からCaが供給される森林集水域で、Sr同位体比を用いたCa起源解析に必要な観測手法を確立し、渓流水や植物に含まれるCaに対する起源別寄与率を定量評価することを第一目標とする。次に、Caの起源別寄与率を地質と火山灰混入程度が異なる3集水域で比較することで、Ca供給源としての火山灰の重要性を示すことを第二目標とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

 平成28年度はチャート地質で火山灰が分布すると予想される栃木県雨巻山地域において、観測地点選定のための渓流の多地点調査を実施する。平成29年度は雨巻山地域において、渓流および降水の通年調査と基盤岩の調査を行う。平成30年度は、雨巻山地域において、渓流水中Ca の起源を火山灰・基盤岩・大気に分け、それぞれの寄与率を評価するとともに、その結果と茨城県筑波山地域(花崗岩地質で火山灰が分布)、岐阜県伊自良湖地域(チャート地質、周辺にアロフェン質クロボク土の分布がないため火山灰が少ないと推定)における結果(筑波山はデータ取得済み、伊自良湖は連携研究者がデータ取得中)を比較することにより、どのような地域で火山灰によるCa供給が重要となるのかを明らかにする。

今年度の研究概要

 平成30年度は、大気降下物の毎月採取を11月まで継続し、大気降下物由来Srの年平均値を求める。次に、岩石の抽出実験を実施して抽出液のSr同位体比を測定し、全分解液のSr同位体比と比較検討して、より信頼性の高い岩石エンドメンバーを求める。以上の成果を平成29年度までの成果と合わせて、栃木県雨巻山地域における渓流水のCaおよびSrの起源解析を行う。さらに、連携研究者が取得した他地域のデータとあわせて、Caの起源別寄与率を地質と火山灰混入程度が異なる集水域間で比較することにより、Ca供給源としての火山灰の重要性を示す。

外部との連携

連携研究先:アジア大気汚染研究センター、総合地球環境学研究所

関連する研究課題

課題代表者

越川 昌美

  • 地域環境保全領域
    土壌環境研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(人間・環境学)
  • 化学
portrait

担当者