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オゾン層変動研究プロジェクト(平成 29年度)
Research project on stratospheric ozone changes

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1620AQ015
開始/終了年度
2016~2020年
キーワード(日本語)
オゾン層,化学気候モデル,温暖化,地球環境,データ同化
キーワード(英語)
ozone layer,chemistry-climate model,global warming,global environment,data assimilation

研究概要

成層圏のオゾン層破壊や今後予想されるオゾン層の回復は、気候に影響を及ぼし得るとの認識が近年深まってきている。また、温室効果ガスの増加による地球温暖化は、その気象場や化学場の変化を通して成層圏での大気循環や化学物質の濃度・分布に影響を及ぼすと考えられている。本研究では、過去から将来にわたるオゾン層破壊物質と温室効果ガス濃度変化に関連した成層圏〜中間圏大気およびその下の対流圏大気の2つの領域を一体化して捉え、その相互作用のメカニズムや影響を明らかにすることによって地球環境問題に貢献する。また、それによって温暖化や地球環境の将来変化予測の不確実性の低減を図り、温暖化対策とオゾン層保護の両面からの対策・対応に役立つ科学的知見を提供する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

目的達成のための道具として、IPCC−AR5の温暖化予測に使用されたMIROC5気候モデルをベースに、大気海洋結合型の化学気候モデルの開発を行う。このモデルおよび前中期計画期間に開発を行ったMIROC3.2化学気候モデルを活用して、気候変動とオゾン層変動との相互関係のメカニズムを調べる。また、将来予測実験を行って、今後温室効果ガスが増加する中でのオゾン層の回復とその気候への影響についての解析を行う。さらに、太陽活動変化の影響を調べるため、これらの影響を取り入れた数値実験および解析も行う。これらのメカニズム解析・影響解析のために、風速・気温などの気象要素や大気微量成分濃度の地上観測データ、衛星観測データ、客観解析データも活用する。その一方法として、気象要素やオゾン濃度の観測データを化学気候モデルに同化し、現実に近い状態での空間3次元化学場・輸送場の解析を行う。南極域(昭和基地など)、南米大陸南端付近、つくば、札幌、北極域等で観測された大気微量成分変動のメカニズムをこの同化モデルによって解明する。化学気候モデルと大気微量成分観測データの活用によって、オゾン層変動を介した地球環境問題の解明に取り組む。

今年度の研究概要

(1) 化学気候モデルとオゾン層破壊物質濃度および温室効果ガス濃度の将来シナリオを使った将来予測実験を行って、今後オゾン層破壊物質が減少、温室効果ガスが増加する中での北極や南極のオゾン層変化についての解析を行う。
(2) 化学気候モデルとアンサンブルカルマンフィルタを使って、気象再解析データおよびオゾン濃度の観測データを同化し、南米におけるオゾンホール移流に伴うオゾン濃度の予測を行う。
(3)南極の昭和基地においてFTIRで観測されたオゾンやHClの時間変化を解析し、化学輸送モデルの計算結果との比較を行って、その変動メカニズムの解明を行う。

関連する研究課題

課題代表者

秋吉 英治

  • 地球システム領域
    気候モデリング・解析研究室
  • シニア研究員
  • 博士 (理学)
  • 物理学,地学,コンピュータ科学
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担当者