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規制難燃剤に代わる縮合型リン系難燃剤の安全性評価:適切なリスクベース管理に向けて(平成 29年度)
Chemical safety assessment of oligomeric organophosphorus flame retardants used as alternatives for restricted hazardous substances

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1719CD007
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
次世代難燃剤,不純物,分解物,生体内利用性
キーワード(英語)
Next-generation flame retardants, Impurity, Degradation product, Bioaccessibility

研究概要

縮合型リン系難燃剤は、欧州RoHS指令やPOPs条約対象の規制難燃剤に代わって主流となりつつある次世代難燃剤のひとつであるが、近年、環境経由の曝露リスクが危惧されている。縮合型リン系難燃剤に関しては、適正な安全性評価に基づくリスクベース管理を導入し、消費者の火災安全性と健康安全性を両立させる管理方策を採ることが考えられる。本研究では、製品中縮合型リン系難燃剤の主成分、合成不純物、分解生成物の物理化学的性状、毒性発現性、生体内利用性の事実確認を進め、縮合型リン系難燃剤の市販製剤から含有製品までの一貫した安全性評価に資する科学的知見を提示することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究は、製品中縮合型リン系難燃剤のリスク因子の解明を進める。初年度は、製品中縮合型リン系難燃剤のリスク因子の解明に向けて基盤となる分析法を完成する。具体的には、これまでの市販製剤に適用した分析法に改良を加え、製品中縮合型リン系難燃剤の各種関連成分(主成分、合成不純物、分解生成物)の分析法を確立する。次年度以降は、パソコン用ディスプレイのプラスチックケース、自動車内装材や家具のポリウレタンフォームを対象として、製品中縮合型リン系難燃剤の各種関連成分の物理化学的性状、生体内利用性、毒性発現性に関する科学的知見を類型化し、縮合型リン系難燃剤の主要なリスク因子を解明する。

今年度の研究概要

初年度は、製品中縮合型リン系難燃剤(Origomeric organophosphorus flame retardants, O-PFR)類縁物質(主成分、合成不純物、分解生成物)の分析法を検討する。
1)LCシステムの二次元化による分離能力の強化:ゲル浸透クロマトグラフィーカラムを第一カラムとして、オフラインで順相カラムや逆相カラムを第二カラムとすることでLCシステムの二次元化を図る。二次元LCシステムに四重極飛行時間型質量分析計(QTOFMS)を組み合わせて、O-PFR類縁物質の分子構造の解析法(二次元LC/QTOFMS法)を確立する。二次元LCシステムにCALUXアッセイを組み合わせて、O-PFR類縁物質の毒性発現性の分析法(二次元LC/CALUXアッセイ法)を確立する。
2)O-PFR類縁物質の標準物質の調製と適用:分取二次元LCシステムを構築して個々のO-PFR類縁物質を回収・精製し純度を測定する。これらの標準物質を使用して、核磁気共鳴分光法(NMR)を用いた分子構造の決定、LC/QTOFMSを用いた絶対検量線法による定量、CALUXアッセイによる毒性発現性の分析を実施する予定である。
3)EPI Suiteを用いたO-PFR類縁物質の物理化学的性状の解明:O-PFR類縁物質の物理化学的性状を、その分子構造からEPI Suite等のソフトウェアで予測する。蒸気圧、水溶解度、オクタノール/水分配係数などの物理化学的性状からO-PFR類縁物質の環境放散性の違いを考察する予定である。
4)CALUXアッセイを用いた毒性発現性の解明:二次元LC/CALUXアッセイ法、および標準物質を用いたCALUXアッセイ法を組み合わせて、O-PFR類縁物質の毒性発現性を解明する予定である。オランダBioDetection System b.v.で開発されたCALUXアッセイを用いて各種核内受容体の作動性(アゴニスト活性)および拮抗性(アンタゴニスト活性)を評価する。エンドポイントは、REACH規則で取り上げられている生殖毒性等に着目して、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体アルファ、プロゲステロン等のアゴニストおよびアンタゴニスト活性を対象とする。

課題代表者

松神 秀徳

  • 資源循環領域
    試験評価・適正管理研究室
  • 主任研究員
  • 環境学博士
  • 化学
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担当者