ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

食品由来のアクリルアミド摂取量の推定に関する研究(平成 28年度)
Estimation of Intake of acrylamide in Japanese

予算区分
KZ その他公募
研究課題コード
1517KZ002
開始/終了年度
2015~2017年
キーワード(日本語)
アクリルアミド,モンテカルロシミュレーション,摂取量,陰膳法
キーワード(英語)
Acrylamide,monte calro simulation,Intake,duplicate diet study

研究概要

アクリルアミド(AA)は食品の加熱過程で生成する化学物質である。AAは神経毒性や発がん性などの毒性を示すことが知られており、その摂取によってもたらされるリスクを評価することは食品安全管理における喫緊の課題である。AAは、2002年にスウェーデン政府によって食品中に高濃度で含まれることが発表されて以降、欧米諸国を中心として食品由来のリスクの評価が行われ、わが国では食品安全委員会による「自ら評価」の対象となっている。日本では、農林水産省を中心に食品のAA含有量や生成要因に関する調査研究が行われているところであるが、AA摂取のリスクの評価は行われていない。
近年、FAO/WHO合同食品添加物専門会議や各国の評価機関では、AAを含む遺伝子傷害性の発がん物質に対して、ばく露マージン(MOE)に基づいたリスクの評価が行われている。我が国においてAAのリスク評価を行うためには、ばく露量のデータの取得が不可欠である。AAは食品の加熱調理によって生成されることを考えると、摂取量分布のばらつきは大きいと予想され、統計学的手法によって摂取量の分布を評価することが当面は妥当と考えられる。本研究は、国民栄養調査等のわが国で利用可能なデータを基にした各食品の摂取量と、食品に含まれるアクリルアミドの含有量の分析値から摂取量の分布に基づき、モンテカルロシミュレーション等により、日本人のアクリルアミドの1日摂取量の分布を推定することを目的とする。また、陰膳法を用いて食事由来のアクリルアミド摂取量の推定を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

20歳代から60歳代までを対象に陰膳試料の収集を行う。陰膳試料中のアクリルアミド濃度の測定結果から1日のアクリルアミド摂取量を推定するとともに、陰膳収集の当日の食事内容や調理方法に関する情報から、陰膳中のアクリルアミド濃度に影響する食品および調理条件等について解析を行う。なお本課題における陰膳試料の収集は、大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座祖父江友孝教授および相模女子大学栄養科学部石原淳子准教授と共同して実施し、陰膳試料中のアクリルアミドの測定によって得られた情報を共有し、アクリルアミドの摂取要因の解析等に用いる。
 

今年度の研究概要

平成26年度食品健康影響評価技術研究課題「食品からのアクリルアミド摂取量の統計的推定に関する研究」の結果を踏まえ、より詳細にアクリルアミドの摂取量分布の構成を試みる。平成26年度の研究では、摂取量分布推定のための基礎式の構築、アクリルアミド摂取量の推定対象とする食品区分の選定、対象食品中のアクリルアミド含有量分布の推定、一部の対象食品の一日摂取量分布の推定を実施し、アクリルアミドの摂取量分布を推定した。本研究では、アクリルアミド摂取量の長期平均摂取量の個人間分布をより詳細に推定するために次の検討を実施する。平成26年度課題における解析対象食品区分について必要に応じて再構成する。また、当該課題にて構築した基礎式に基づき、各食品区分の摂取量分布や食品中アクリルアミド含有量分布、平成26年度課題では検討されていない摂取頻度の分布についてその特徴を解析する。その結果を踏まえ、各分布を推定あるいは仮定を再検証し、アクリルアミド摂取量の統計モデルを再構築することにより平成26年度課題で推定された分布の信頼性を向上させる。さらに、陰膳調査の結果などを用いて、アクリルアミド摂取量の統計モデルの妥当性を検証する。
陰膳中のアクリルアミド濃度の分析法を検討する。また、加熱条件を考慮した秤量法による食事調査方法を検討し、パイロットテストを行い調査に適用する。20歳代から60歳代までを対象に陰膳試料の収集を行う。

外部との連携

本課題は相模女子大学栄養科学部安達修一教授と共同で実施する。

関連する研究課題

課題代表者

河原 純子

担当者