ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

空間的自己相関を考慮した地域間フローの計量分析と空間詳細化(平成 28年度)
Quantitative analysis and spatial downscaling of inter-regional flow considering spatial autocorrelation

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1517CD026
開始/終了年度
2015~2017年
キーワード(日本語)
地域間フロー,空間的自己相関,空間詳細化,空間計量経済学
キーワード(英語)
interregional flow,spatial autocorrelation,donwscaling,spatial econometrics

研究概要

地域間の交通量や交易量に代表される地域間のOrigin -Destination (OD) Flow Data を対象として、地理的な空間データの特質である空間従属性(≒空間(的自己)相関)や空間的異質性を明示的に考慮した、空間計量経済学等のアプローチに基づく統計学的な研究は未だ発展途上にあり、研究事例も数えるほどしかない。本研究では、地域間の社会経済活動を示す様々な地域間 Flow Data を対象として、現象としての空間相関の発見やその検出方法の改良、空間相関を明示的に考慮した空間相互作用モデルを用いた計量分析、空間相関の存在を利用した新たなデータの補間や空間詳細化手法の開発、さらにはそれらの成果を生かした実務上直面する様々な問題の解決を行い、得られた知見を実務に還元すべく成果を公開する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

初年度において、本研究で使用するデータのうち整備が未着手であるものを整備し、初年度後半以降の実証分析に相応しいデータセットを構築する。併せて、我が国や諸外国において利用されているOD Flow Data 環境や利活用の実情を整理し、本研究の応用可能性の見通しを得る。並行して、整備済みのデータを用いながら、空間相関や集積の検出、空間計量経済モデルを用いた計量分析に着手する。さらに、空間詳細化手法の開発に着手し、方法論について見通しを得る。次年度以降、前年度整備されたデータを用いて空間計量経済分析を本格化する。空間詳細化については、実際のデータを用いた実証を通じて手法の改良と可変地区問題等への応用に着手する。最終年度は、研究成果とともに開発した空間詳細化手法等のプログラムをWeb 上で公開するとともに、国内でのWorkshop と国際会議でのセッションを開催し、成果の周知と利用促進を行う。

今年度の研究概要

(1)前年度に開発した、空間統計モデルを発展させることで、残差の空間的自己相関のみならず回帰パラメータの空間的自己相関も捉えることができる、新たな空間統計モデルを新規開発した。Monte Carlo simulationによる比較により、同モデルのパラメータ推定精度や計算時間が、既存の類似モデルを大きく上回ることを確認している。また、開発したモデルを水害リスクの分析に応用することでその実用性も確認している。次年度は、同モデルを地域間フローデータの分析に応用する予定である。
(2)前年度の(2)で開発した空間詳細化手法を完成させ、SSPシナリオ1〜3の空間詳細化に応用した。なお、空間詳細化の結果は地球環境研究センターのwebページ上で公開中である。

外部との連携

筑波大学 システム情報系 教授 堤盛人

課題代表者

村上 大輔