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霞ヶ浦における人工的な湿地の創設が越冬鳥類の採食生態に与える影響(平成 27年度)
Effects of establishment of the artificial wetlands on feeding ecology of the wintering birds in Lake Kasumigaura

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1515AQ004
開始/終了年度
2015~2015年
キーワード(日本語)
霞ヶ浦,越冬鳥類,食性,DNAバーコーディング
キーワード(英語)
Lake Kasumigaura, Wintering Bird, Diet, DNA barcoding

研究概要

湿地の大半が護岸工事によって消失している霞ヶ浦では、再生湿地や蓮田など、人工的に創設された湿地が、越冬鳥類に重要な採食環境を提供していると考えられる。しかし、同所的に越冬する多数の鳥類種が、限られた湿地環境において食物資源をどのように利用しているのかは解明されていない。また、鳥類による蓮根の食害が疑われており、農業被害の軽減と鳥類の多様性保全を両立するための対策が必要とされている。本研究では、霞ヶ浦の異なる湿地環境における鳥類の分布と食物構成の特徴を評価することにより、蓮田及び再生湿地による鳥類の誘引効果と、対象種の食物利用に与える影響を理解し、湿地の再生が蓮田における農業被害を軽減あるいは助長する可能性について検証する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

1.調査地の選定
霞ヶ浦周辺において、植食性の越冬鳥類の餌場を1)蓮田2)蓮田+再生湿地 3)再生湿地 4)残存湿地に区分し、調査地を選定する。対象区として護岸壁周辺の調査地も選定する。
2. 植物のDNAデータベースの作成
調査地周辺に生育する植物を研究分担者 (竹中氏、井上氏) の協力の下採取し、DNAバーコーディングに用いる塩基配列データベースを作成する。
3. 越冬鳥類の分布調査
鳥類の越冬期である9月から3月にかけて、各調査地において毎月スポットセンサスを行い、鳥類の種構成と個体数を記録する。
4. 越冬鳥類の食性解析
対象種は、個体数の多いカルガモ、マガモ、ヒドリガモ、コガモ、オオバンを予定している。研究分担者 (日本野鳥の会) の協力の下、対象種の糞サンプルを採取し、DNAを抽出する。次世代シーケンサーIon PGMを用いて、糞DNAに含まれる食物の塩基配列を網羅的に解読する。得られた配列をデータベースと照合し、食物を同定する。
5. データ解析
鳥類の種組成と個体数を調査地ごとに比較し、蓮田及び再生湿地による鳥類の誘引効果について検証する。食物構成を種ごと、並びに調査地ごとに比較し、対象種の食物利用の特徴を評価する。モデル解析により、各対象種の糞サンプルからの蓮の出現頻度に関係する要因を明らかにする。再生湿地に誘引された鳥類が過密状態となり、食物の競合が生じた場合、一部の種がハスを高頻度で採食すると予想される。

今年度の研究概要

霞ヶ浦の蓮田、再生湿地、残存湿地を対象に、植食性の越冬鳥類の分布状況を調査し、DNAバーコーディングを用いた食性解析を行う。得られた結果を基に、蓮田及び再生湿地が鳥類の分布と採食生態に与える影響について評価する。同時に、自然再生による鳥類の誘引効果と、蓮田における農業被害との関連を評価する。

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

安藤 温子

  • 生物多様性領域
    生態系機能評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士 (農学)
  • 生物学,農学,林学
portrait

担当者