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胎児期〜小児期における有機臭素系難燃剤曝露が肥満症に及ぼす影響に関する研究(平成 27年度)
Impact of brominated flame retardants in obesity and obesity-related metabolic disorders.

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1316CD001
開始/終了年度
2013~2016年
キーワード(日本語)
肥満,有機臭素系難燃剤
キーワード(英語)
obesity, Brominated Flame Retardants

研究概要

近年、肥満症は、成人のみならず、小児においても急激に増加しており、先進国を中心に大きな社会問題となっている。この原因としては、食生活の変化、運動不足、ストレスなどの生活環境の変化に起因するものが大きいとされているが、その一方で、環境化学物質の関与が指摘されている。本研究で対象とする有機臭素系難燃剤(Brominated Flame Retardants; BFRs)は、家電製品や繊維製品の難燃剤として広く用いられる一方、脂溶性に富み、生物蓄積性も高いという性質から、室内環境などからの曝露による健康影響が懸念されている環境化学物質である。本研究では、BFRsの胎児期から小児期における曝露が、小児、あるいは成人の肥満、および肥満に起因する諸病態の発現・進展に及ぼす影響を評価し、その作用機構を解明することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

胎児期〜小児期におけるBFRs曝露が、小児、あるいは成人の肥満症に及ぼす影響を評価し、その作用機構を明らかにすることを目的として、炎症・免疫系、神経系、内分泌・代謝系に着目する。すなわち、BFRs曝露が高脂肪食摂取による肥満、および肥満に起因する諸病態へ及ぼす影響について、肥満症の関連臓器である、内臓脂肪組織、肝臓、脳(視床下部)、膵臓、甲状腺、さらに血球系細胞を対象として各検討を行う。また、詳細な作用機構の解明を目的として、培養細胞を用いた検討も併せて行う。

今年度の研究概要

(1)BFRsの小児期〜成人期曝露による肥満症への影響
DecaBDEの小児期〜成人期曝露で、高脂肪食摂取で認めた高血糖やインスリン抵抗性の亢進傾向について、再現性の確認と作用機構の解明を行う。
(2)胎児期〜乳児期におけるBFRs曝露による仔の肥満症への影響
昨年度より、BFRsの一つであるヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)の胎児期〜乳児期における曝露(経母獣曝露)が、高脂肪食、あるいは普通脂肪食を摂取させた仔マウスの肥満、および肥満に起因する諸病態に及ぼす影響について検討を開始しており、影響がある場合はその作用機構についても検討する。
(3)脂肪細胞とマクロファージの共培養系を用いたBFRs曝露の影響評価
昨年度確立したマウス前駆脂肪細胞株化細胞3T3-L1、およびマウスマクロファージ株化細胞RAW264.7の共培養系を用い、BFRs曝露が肥満の脂肪組織における脂肪細胞とマクロファージの相互作用に及ぼす影響について検討する。

課題代表者

柳澤 利枝

  • 環境リスク・健康領域
    病態分子解析研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(医学)
  • 医学,生化学
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担当者