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海洋古細菌細胞膜脂質GDGTs有機分子を用いた古水温計開発と古気候研究への応用(平成 25年度)
Development of paleo sea surface temperature estimate using GDGTs of organic moleculars of marine archaea membrane lipids and their application to paleoclimate study

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1314CD006
開始/終了年度
2013~2014年
キーワード(日本語)
北極海,古細菌,エーテル脂質
キーワード(英語)
Arctic Ocean, archaea, GDGTs

研究概要

海洋における非熱水性海洋古細菌であるマリンクレンアーキオータ(以下、Cren)の存在は、90年代後半の分子生物学の急激な環境研究への応用研究からその存在が示された。しかしながら、微生物生態学的知見は、非熱水性であること以外、培養もできないことから現在においてもまだ未知の微生物である。北極海におけるCrenの生息深度とTEX86古水温、表層水温、堆積物コアを採取する現場海域におけるGDGTsを作るCrenのバイオマス量の水深分布やクレンアーキオータの代謝情報を含めた炭素源を明らかにし、GDGTsを用いた古水温計開発にむけた基礎情報を得たい。堆積物コアに保存されるGDGTsがどの水深に生息するクレンアーキオータであるのかを解明する。本申請研究では、CTDによる現場海域における大量採水を実施し、GDGTsと各深度別のDICサンプルの核実験由来の14C測定を行うことによりこの問題についての答えを得たい。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、北極海における過去の水温変動復元のためのプロキシー開発の一環として、堆積物に保存されている海洋性古細菌(マリンクレンアーキオータ)細胞膜脂質(GDGTs)を用いた水温(TEX86)復元プロキシーの実用化をめざす。そのため北極海バロー沖で採取された柱状堆積物及び北極海で採水濾過試料についてGDGTs脂質の組成、核実験起源放射性炭素をトレーサーに用いて、GDGTsの起源を明らかにし、GDGTs生成微生物の生息水深並びに北極海における微生物生態学的知見を得ることを目的とする。

今年度の研究概要

北極海におけるマリンクレンアーキオータの微生物生態学的情報(バイオマス量の把握)と各深度におけるTEX86を計算する際に使用するGDGTsの組成、存在量について検討を行う。これにより、堆積物に保存されているGDGTsから求められる水温(TEX86)がどの水深を反映しているのか特定する。さらに現場海域の表層堆積物についても同様の調査を行う。最終的に、これらのGDGTsの自然レベル14C存在量(以下、Δ14C)と海水中DIC, DOC, POCのΔ14Cの比較から、現場海域各深度におけるGDGTsの炭素源を明らかにし、堆積物に記録されるGDGTs水温(TEX86)の有効性を確認する。

課題代表者

内田 昌男

  • 地球システム領域
    動態化学研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,地学,理学
portrait

担当者