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アジア・オセアニア域のモンスーンに伴う温室効果ガス濃度分布の変動(平成 25年度)
Spatial and temporal variations of greenhouse gas concentrations during the monsoon season over Asia and Oceania

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1113CD007
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
温室効果ガス,モンスーン,気象力学,物質循環,衛星観測,データ解析
キーワード(英語)
greenhouse gas, monsoon, dynamic meteorology, material circulation, satellite observation, data analysis

研究概要

主要な温室効果ガスである二酸化炭素やメタンの濃度を観測するために、温室効果ガス観測技術衛星GOSATが2009年1月に種子島から打ち上げられた。この衛星データにより、温室効果ガスの詳細な水平構造の把握及び将来の気候変化予測につながることが期待される。一方で、日本を含むアジア域の気候はモンスーン現象に支配されている。北半球の夏季モンスーンは5〜6月頃に始まり、初秋頃に終息するという季節変化をたどり、顕著な時空間変動を持つ。温室効果ガスは大気の流れによって輸送されるため、その物質分布は必然的にモンスーンの影響を受けることになるが、そのような視点に立った研究はこれまでにほとんどなかった。そこで本研究では、アジア・オセアニアを中心とするモンスーン地域の局所的な大気循環に着目し、主要な温室効果ガスである二酸化炭素及びメタン濃度分布の変動をもたらす力学過程を調べる。
 広域の場で定期的にデータを取得できるGOSATの特性から、物質の濃度を数日程度の時間スケールで表現できるため、モンスーンの始まりやブレイク、終息などの小刻みなイベントとの対応関係がみられるかどうかを確認する。さらに、対流圏界面を通した物質交換や成層圏の子午面循環との関わりも含めて解析し、 物質分布の形成に至るメカニズムの解明を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、2009年1月に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星GOSATによる観測データや地上FTSデータ、及び航空機データなどを用いて、アジア・オセアニア域における二酸化炭素とメタン濃度の水平分布と時間変動特性を調べる。そして、二酸化炭素・メタン濃度と様々な物理量との相関解析を行い、両者の関連性を見出す。さらに観測データに基づく大気場の客観解析データも使用して対流活動や子午面循環などの解析を行い、各種温室効果ガスがモンスーンの進行に伴う対流圏の気候や降水活動及び成層圏の循環変動とどのような力学過程でリンクしているのかを明らかにする。

今年度の研究概要

地上データや航空機データを用いたGOSATデータの検証結果により、GOSATデータが科学的に利用できる状況になってきたと考えられる。今後は、地上データ、航空機観測データ、GOSATデータと観測に基づく再解析データを用いてモンスーン期間中の季節推移に伴う二酸化炭素及びメタン濃度の空間分布の変動を解析し、大気循環場と物質濃度変動の関係を調べる。GOSATで得られた温室効果ガス濃度の水平分布を確認した後、アジア、オセアニア域の各緯度帯で数日程度の平均化を行い、検証データも含めた緯度分布図・経度分布図を作成する。また、再解析データの風や温度及び気圧データ、対流活動の指標となるNOAAの外向き長波放射量(OLR)や海面水温データを用いてモンスーンの進行に伴う空間変動を解析し、温室効果ガスの濃度変動との関係を明らかにしていく。

備考

[研究協力者]
内野 修  (国立環境研究所)
森野 勇  (国立環境研究所)
高橋 正明 (東京大学大気海洋研究所)

課題代表者

井上 誠