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低炭素社会を実現する街区群の設計と社会実装プロセス(平成 25年度)
Design and implementation process of building blocks for realizing low carbon society

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) E-1105
研究課題コード
1113BA006
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
低炭素,街区,エネルギーシステム,資源循環
キーワード(英語)
low carbon, city block, energy system, resource circulation

研究概要

日本においてCO2排出量長期大幅削減を着実に達成するためには、各種要素技術の革新はもとより、それらの配置を規定し、生活・生産活動に影響を与える都市・地域の空間構造を低炭素型に再構築することが不可欠である。従来はマクロな都市圏規模を対象とした研究が多く、要素技術を実際の場(空間構造)にどのように配置しシステムとして組み上げていくことが、全体として低炭素社会の実現に結びつくかという問への解答を提供することができなかった。そこで、個別要素技術を実物スケールで扱うことができる「街区群」(街区は「街路に囲まれた一区画」を指す)を評価スケールとして設定し、目指すべき空間構造の条件と具体デザインを評価するシステムを、ライフサイクル思考に基づいて構築し、実際の都市空間の評価に適用していく。さらに、示された低炭素街区群の実現に向けた諸課題の整理、社会経済制度見直しの方向性を見出し、実際に提言としてまとめるための調査研究を実施する。

研究の性格

  • 主たるもの:政策研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

日本の都市・地域を2050年に向けて低炭素対応型に漸次変更していくために、都市・地域を構成する小単位である「街区群」を対象として、目指すべき空間構造の条件と具体デザインを示すとともに、これらを規定する社会経済制度をいかに見直し、実社会において実現していくべきかを検討する方法論を構築する。
 平成25年度に規模や建物用途等などに応じた、エネルギー面から見て最適な低炭素街区群の設計方法を提案する。既存施設を有効利用し、リサイクルのための追加的施設建設は最小限に抑えながら、長期的にも費用対効果に優れたシステムとなり得るかを評価し、その社会への導入手順提案に結びつける。

今年度の研究概要

昨年度までに開発してきた、各モデルシステムの精緻化を行うとともに、関係性を整理・明確化することで利用性の向上を実現する。具体的には、以下の方針により検討を実施する。
・長期的な視点に立てば、土地利用を変更することにより人口密度を高めエネルギー需要を集約することで、地域熱供給事業等のエネルギー関連施策の効果を高めることができる。このような観点のもと、地域エネルギー計画支援システムを活用し、将来計画と連動したプランニングプロセスの検討を行う。
・都市キャノピー・ビルエネルギー連成モデルを用いて、応用的なシナリオシミュレーションを実施する。具体的には、事務所ビル街区における屋上緑化を対象とし,蒸発散のために必要な水量を考慮してヒートアイランド緩和効果とCO2削減効果を評価する。
・人口減少・少子高齢化等の将来変動(情勢の変化)が考慮可能となるように資源循環システムのシミュレーションモデルを拡張し、短期的な視点に留まらない頑健性を考慮した資源循環システムの検討を実施する。
・バイオマス資源の都市街区群における利用方法に関する代替的な複数シナリオを検討し、その低炭素効果に関する定量的評価を実施する。これにより、バイオマス資源の効率的な循環プロセスを支える制度・インフラ等を検討するとともに、空間特性(都市との近接性)に応じた適切な森林管理方法を提案する。
 また、首都圏・東北被災地域・中京圏等で実施してきた、ケーススタディの成果を精査し得られた結果を比較評価することで、地域空間特性と施策パッケージの一般的な関連性をとりまとめる。以上より、エネルギー需給の空間分布特性に基づいてエネルギー関連計画をデザインするための、ガイドラインシステムを作成し、他都市への一般化を進めるための科学的手法の基礎を構築とする。さらに、関連省庁や自治体との連携を通じて、研究成果の社会実装へ向けた制度設計等の検討を行う。

外部との連携

研究代表者:加藤博和(名古屋大学)、連携機関:名古屋大学、慶応義塾大学、地球環境戦略研究機関

備考

当課題は課題対応型の研究プログラム (7)-1 にも関連

課題代表者

藤田 壮

担当者